私だけを濡らす雨/ハードバージョン
マッド・カウントダウン❸
後部シート中央で這いつくばされてる無残な手を成してるケンのカラダには、手錠で繋がれた両手以外の下半身部に、左側から腰を浮かせた格好で板垣の半身が覆いかぶさっていた。
その際、ケンの両足を左手でむんずと固定し、さらに右膝を彼の左みぞおち辺りにめり込ませ、さらに右手はケンの左ひじを掴んで万歳の態勢をキープさせている…。
カンペキ…。
まさに、その言葉以外見当たらない芸当であった。
誰の目にも‥。
だがしかし…、注射器を片手にした郡氷子だけは不満だった。
”フン!できるんなら、私がせっつく前にやれって!あれほど念押ししたのに、こいつら、手抜きの達人だわ”
これまで、怖いものなしでぶっ通してきた彼女からしたら、こんなところだったのであろうが‥。
ともあれ、自身への薬物投与はもはや秒読み状態となり、さすがのクールガイ桜木ケンも恐怖で瞳孔が開いている…。
***
「ケンちゃ~ん、そんな心配すんなって。これ、覚せい剤とかじゃないからさ、大丈夫だって。まあ、ちょっと痺れるらしいけど、時間が経てば元に戻る。じゃあ、お注射よ。動いちゃダメよ…」
”ううっ、うぐぐっ…!”
ケンは懸命に腕を動かそうとするが、何分、手錠で両手が拘束されている上、両側から二人にガツッと押さえつけられていては、もはやされるがままだ。
彼の血走った目はここに至って、懇願を乞うようにも見えた。
”ブスッ…!”
「はーい、終わりまちたよ~。いま消毒の脱脂綿でモミモミしましゅからねー」
これには藤森も板垣も背筋をブルっとさせ、驚愕を禁じえなかった。
”この女、いよいよテンバッてきやがった。この後のパーティーとやらは凄まじい展開になるぞ…!”
その道ん十年の猛者である二人のアウトサイダーも、氷子がイカレた臨界の淵を垣間見せたことで、”この後”どんな壮絶局面が待ち受けているのかを想像すると、吐き気を催すほかなかった…。
後部シート中央で這いつくばされてる無残な手を成してるケンのカラダには、手錠で繋がれた両手以外の下半身部に、左側から腰を浮かせた格好で板垣の半身が覆いかぶさっていた。
その際、ケンの両足を左手でむんずと固定し、さらに右膝を彼の左みぞおち辺りにめり込ませ、さらに右手はケンの左ひじを掴んで万歳の態勢をキープさせている…。
カンペキ…。
まさに、その言葉以外見当たらない芸当であった。
誰の目にも‥。
だがしかし…、注射器を片手にした郡氷子だけは不満だった。
”フン!できるんなら、私がせっつく前にやれって!あれほど念押ししたのに、こいつら、手抜きの達人だわ”
これまで、怖いものなしでぶっ通してきた彼女からしたら、こんなところだったのであろうが‥。
ともあれ、自身への薬物投与はもはや秒読み状態となり、さすがのクールガイ桜木ケンも恐怖で瞳孔が開いている…。
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「ケンちゃ~ん、そんな心配すんなって。これ、覚せい剤とかじゃないからさ、大丈夫だって。まあ、ちょっと痺れるらしいけど、時間が経てば元に戻る。じゃあ、お注射よ。動いちゃダメよ…」
”ううっ、うぐぐっ…!”
ケンは懸命に腕を動かそうとするが、何分、手錠で両手が拘束されている上、両側から二人にガツッと押さえつけられていては、もはやされるがままだ。
彼の血走った目はここに至って、懇願を乞うようにも見えた。
”ブスッ…!”
「はーい、終わりまちたよ~。いま消毒の脱脂綿でモミモミしましゅからねー」
これには藤森も板垣も背筋をブルっとさせ、驚愕を禁じえなかった。
”この女、いよいよテンバッてきやがった。この後のパーティーとやらは凄まじい展開になるぞ…!”
その道ん十年の猛者である二人のアウトサイダーも、氷子がイカレた臨界の淵を垣間見せたことで、”この後”どんな壮絶局面が待ち受けているのかを想像すると、吐き気を催すほかなかった…。