私だけを濡らす雨/ハードバージョン
ゴーモン・メイク・ラブ❸




「…お、お…姉さん、ツグミの…、こと、まだ…好き…だとか…、その…き、気持ちはわ、わからない…。けど…、アイツが…、アイツから、そう言ってき…、きたら、拒まない…と、おもう…」


「…」


この時…、凄まじい緊迫感が藤森と板垣の間に漂った。
それは稲妻の如く!


ありのままの気持ちに従って”言葉で応えた”ケンは果たして、今、氷子の質してきたその深意を汲んでの返答であったのか…。


しかし、一方の氷子にだけはケンの真意は量れた。
その上で、彼女は桜木ケンに極めつけの問いかけをぶつけた。


***


「ケン!それって、気の狂ったお姉ちゃんに殺されるかもしれない同級生のツグミがかわいそうだとか、同情の念もあってってことなのかよ⁉」


これはもはや、桜木ケンへの踏み絵を迫ったに他ならなかった。
ケンからのリターンは端的そのもので、即だった。
首をタテに大きく振ったのだ。


それは、体にしびれが薄らいだせいなのか、かなりスムーズに歯切れよくだった。
ただし、氷子にとっては、ケンが迷いなく認めたということを突き付けられたカタチとなる。
ここに、若干中学2年の妹の同級生は、郡氷子の突き出した踏み絵を躊躇なく踏んでしまった…。


この二人のやり取りを見守るよう注視の視線を向けていた藤森と板垣は、互いに脂汗たらたらの顔を見あわせると、どちらともなく、氷子とケンのすぐそばまで駆け寄った。


そして、またもこの屈強なアウトサイダー二人は共に胸の中でこう呟くのだった。


”桜木は地雷を踏んじまいやがった‼”


***


氷子はしばらく眼下のケンを無言で見つめていた。
おそらくは、その目で彼には多くを語りかけたのではないか…。


しかし彼女は、ここに至り、”自分自身”が下す判断に従うだけであった。
そしてそれこそが、藤森と板垣が恐れていた展開ということになる…。


「ケン!よーく、よーくわかったわ。私が目をつけたオトコだけあるわ、あんた。サイコーだよ。アハハハ…、私たち二組の兄弟姉妹はこれ以上ない相間関係で繋がったわ。…いいか、ケン、私はお前の兄貴をぶっ殺す。今、お前が私に示した態度で、桜木正樹を殺るシュチエーションは固まったわ。そこで、残るはひとつだ。イカレた女のハートに火をつけたオトコにはだ!その愛を受け取ってもらう。がっつりとね…」


ここで氷子はケンの体の上で立ちあがった。
ちなみにその様は、仁王立ちそのものだった
そして後ろに控える藤森と板垣に大声で指示を放った。


「…藤森、道具一式持ってこい!板垣は私が桜木を拘束するまで抵抗できないように抑えてろ!」


二人は即座に配置に着いた。


***


「お…、お姉さん!何、す、する気なんですか!」


「まあ~、すっかりろれつが戻ったわね。さすがに若いわ。桜木君、これからじっくりアンタを看取ってやるよ。どこまで根性入ってるか、しっかり確かめるんだよ!」


「氷子さん、ここに広げときましたんで」


ここで後ろから藤森が女ボスに報告した。


「ああ、ご苦労さん。うーん、なかなかいいビジュアルだわね」


「!!!」


ここで藤森が氷子の足元に置いた”道具一式”は、マニアックなエロプレイで活躍する拘束グッズと、いわゆる”刃物系”がずらっと並んでいた。
そのリアルグロな絵柄を目にしたケンの背筋は、その瞬間、凍りついた…。


***


「じゃあ、まず足の拘束具をハメるから、藤森、足の錠解いて」


「了解」


「やめろー!なにすんだー!」


ケンはほぼ全身からシビレが消えて、必死に抵抗するのだが、如何せん大の男二人には成すすべなく屈するしかなかった。


「ああ、いけね。…藤森、ちょっと待って。足枷の前にズボン脱がさなきゃ…」


氷子は手際よくケンのズボンをその下のパンツごと一気に脱かし、哀れ、中2の少年は体の自由を奪われたまま、下半身丸出しの絵柄を大人3人の前に晒すのだった…。



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