花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
たとえ祝いの言葉が無くても自分の誕生日には彼女と一緒の空間にいたかった。
アメリカに行けば直ぐに処理できる問題も、俺のわがままですべてオンラインで済ませた。
時差がある分寝不足が続き誕生日にも拘わらず体調を崩してしまった。
…最悪の誕生日だ。
フラフラで目を開けても現実なのか夢なのか分からなかった。
ただ、琴乃と一緒に自分の誕生日を過ごしたかっただけなんだ。
俺の妄想が膨らみ夢の中の琴乃は俺のことを好きだと言う。
「…俺も、大好きだ。」
今日は俺の誕生日だ。夢の中でくらい許してほしい。
俺は夢の中で微笑む琴乃に手を伸ばしキスをした。
このまま幸せな夢で眠り続けたい。
気が付くと修治に付き添われ寮の部屋戻っていた。
「晴翔起きたか?薬そこに置いたから飲んでおけよ。俺は寮母さんに報告してくる。」
「あぁ、悪いな。ありがとう。」
ベッドのサイドテーブルに薬と水が置いてあったので手に取り飲んだ。
解熱成分が入っているのか、暫くするとどっと汗がでて熱が引いていくのがわかった。
修治持ってきてくれたのだろうか。机に置きっぱなしになっているカバンから教科書や筆記用具を取り出し机の定位置に置くと見慣れないものが出てきた。
バレンタインのチョコでも突っ込まれたか??
ラッピングリボンには小さなカードが付いていた。
『お誕生日おめでとう。琴乃より』
急いでプレゼントを開けてみるとペンギンのイラストが描かれたスマホケースだった。
二匹寄り添うペンギンが夜空を眺めている。
クルーズパーティーの日、初めて2人で過ごした時間が忘れられず家庭用のプラネタリウムを贈った。彼女も2人で星空を眺めた時間を想い出として刻んでくれたのだろうか…。
自然と溢れてくるこの気持ちは一体何なんだ?琴乃にメチャクチャ会いたくて堪らない。
勝手に体が動く。
気がつくと琴乃が生活する女子寮の前にいた。寮母さんに呼び出して貰おうとしたが未だ帰宅していないと言われ、仕方なく建物の前で待つことにした。
琴乃から誕生日プレゼントをもらえた嬉しさからだろうか。しんしんと降り積もる雪が初めて綺麗だと感じた。
前から歩いてくる女の子が琴乃だって一目でわかる。近づくにつれ誰かと電話してるのだとわかった。
一体、誰と話してるんだ??
嫉妬で頭がおかしくなりそうだ。
今直ぐ抱きしめて俺のものだとアピールしたい。そう思うと勝手に体が動き琴乃をギュッと抱きしめに行っていた。
「誰と電話してた?もしかして古賀?」
違う…。違うんだ。こんな事を言いたいんじゃない。
お礼だ。誕生日プレゼントのお礼を俺は言いにきたんだ。
「プレゼント…もらえないかと思ってた。ありがとう。」
琴乃と出会ってから色んな感情が溢れてくる。
子どもの頃から機械的だとか無情だとか言われてきたが何のことかピンとこないし意味がわからなかった。
だけど今なら理解できる。世界はこんなにも色んな感情で溢れている。彼女がそばにいるだけで幸せで、嬉しくて、愛しくて堪らない。逆に彼女がいなければ淋しくて、苦しくて、何か欠けているようで退屈だ。
ずっとこのまま抱きしめていたい…。
抵抗しないという事は少しは期待しても良いのだろうか…。
「晴翔っ!また倒れたらどうすんだよ!!!」
修治の声がして抱きしめていた腕が緩む。
「…わりぃ、心配かけた。コイツに直接お礼を言いたくて…。」
修治は琴乃にお礼を言うと俺を寮へとつれて帰った。
「お前、いつからこんなに馬鹿になったんだ?天才少年はどこいった?」
部屋に戻ると修治に思いっきり笑われた。
アメリカに行けば直ぐに処理できる問題も、俺のわがままですべてオンラインで済ませた。
時差がある分寝不足が続き誕生日にも拘わらず体調を崩してしまった。
…最悪の誕生日だ。
フラフラで目を開けても現実なのか夢なのか分からなかった。
ただ、琴乃と一緒に自分の誕生日を過ごしたかっただけなんだ。
俺の妄想が膨らみ夢の中の琴乃は俺のことを好きだと言う。
「…俺も、大好きだ。」
今日は俺の誕生日だ。夢の中でくらい許してほしい。
俺は夢の中で微笑む琴乃に手を伸ばしキスをした。
このまま幸せな夢で眠り続けたい。
気が付くと修治に付き添われ寮の部屋戻っていた。
「晴翔起きたか?薬そこに置いたから飲んでおけよ。俺は寮母さんに報告してくる。」
「あぁ、悪いな。ありがとう。」
ベッドのサイドテーブルに薬と水が置いてあったので手に取り飲んだ。
解熱成分が入っているのか、暫くするとどっと汗がでて熱が引いていくのがわかった。
修治持ってきてくれたのだろうか。机に置きっぱなしになっているカバンから教科書や筆記用具を取り出し机の定位置に置くと見慣れないものが出てきた。
バレンタインのチョコでも突っ込まれたか??
ラッピングリボンには小さなカードが付いていた。
『お誕生日おめでとう。琴乃より』
急いでプレゼントを開けてみるとペンギンのイラストが描かれたスマホケースだった。
二匹寄り添うペンギンが夜空を眺めている。
クルーズパーティーの日、初めて2人で過ごした時間が忘れられず家庭用のプラネタリウムを贈った。彼女も2人で星空を眺めた時間を想い出として刻んでくれたのだろうか…。
自然と溢れてくるこの気持ちは一体何なんだ?琴乃にメチャクチャ会いたくて堪らない。
勝手に体が動く。
気がつくと琴乃が生活する女子寮の前にいた。寮母さんに呼び出して貰おうとしたが未だ帰宅していないと言われ、仕方なく建物の前で待つことにした。
琴乃から誕生日プレゼントをもらえた嬉しさからだろうか。しんしんと降り積もる雪が初めて綺麗だと感じた。
前から歩いてくる女の子が琴乃だって一目でわかる。近づくにつれ誰かと電話してるのだとわかった。
一体、誰と話してるんだ??
嫉妬で頭がおかしくなりそうだ。
今直ぐ抱きしめて俺のものだとアピールしたい。そう思うと勝手に体が動き琴乃をギュッと抱きしめに行っていた。
「誰と電話してた?もしかして古賀?」
違う…。違うんだ。こんな事を言いたいんじゃない。
お礼だ。誕生日プレゼントのお礼を俺は言いにきたんだ。
「プレゼント…もらえないかと思ってた。ありがとう。」
琴乃と出会ってから色んな感情が溢れてくる。
子どもの頃から機械的だとか無情だとか言われてきたが何のことかピンとこないし意味がわからなかった。
だけど今なら理解できる。世界はこんなにも色んな感情で溢れている。彼女がそばにいるだけで幸せで、嬉しくて、愛しくて堪らない。逆に彼女がいなければ淋しくて、苦しくて、何か欠けているようで退屈だ。
ずっとこのまま抱きしめていたい…。
抵抗しないという事は少しは期待しても良いのだろうか…。
「晴翔っ!また倒れたらどうすんだよ!!!」
修治の声がして抱きしめていた腕が緩む。
「…わりぃ、心配かけた。コイツに直接お礼を言いたくて…。」
修治は琴乃にお礼を言うと俺を寮へとつれて帰った。
「お前、いつからこんなに馬鹿になったんだ?天才少年はどこいった?」
部屋に戻ると修治に思いっきり笑われた。