花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
「別になんでもない。」

とそっぽを向いてしまった。

 なんなんだ?この人は?

少し感じ悪くてイラっとする。

「あなたは真宮くんでいいんだよね?柳くんからお仕事が忙しくて学校に来れてないって聞いたけどもう落ち着いたの?」

何か会話しなくちゃ!と思い頑張って話を続ける。

「そう。真宮だ。真宮晴翔。仕事はもう大丈夫だからしばらくは日本にいる。」

「そうなんだ!落ち着てい良かったね!」

と、先ほど少しイラっとしてしまったのを隠すように笑顔で返した。が、真宮くんからのリアクションはなかった。

「琴乃ちゃんおはよ。あ、晴翔も来てたんだ。」

柳くんが登校してカバンを机に置きながら挨拶をしてくれた。

「…琴乃ちゃんだと?」

真宮くんがまたボソッと何か言ったようだがよく聞こえなかった。

「お仕事は落ち着いたからこれから日本にいるんだって!」

と、真宮くんが言っていたことをそのまま柳くんに伝えた。

「おぉ、そうか、良かったな晴翔。」

「…いや、別に。」

笑顔で話す柳くんに対してそっけない態度の真宮くん。ほんとに二人とも幼馴染なの?と思える印象だった。
柳くんが前に『人を寄せ付けない』と言った言葉を思い出すが、『友達と思い出を作たい』という気持ちもあるというのならば、この態度は真逆のものだと思う。
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