花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
真宮くんがアメリカから戻ってからは、咲良さん、深雪さん、柳くん、そして真宮くんの5人で過ごすことが増えた。
真宮くんは相変わらず態度が悪くて感じが悪いままだったので、なるべく関わらないように意識しているのだが、なんだかんだと文句をつけながら近づいてくるのだ。

みんなでお昼を食べている時に深雪さんが作ったマカロンが美味しかったと話すと『デブになるぞ。』とか、廊下で仲良くなった友達と話をしていると『邪魔』と一言すれ違い様に言ってきたり、授業中に先生に当てられ困っていると『こんなのも答えられない馬鹿が』と言ってきたり…。
真宮くんはスポーツも得意なようで、いろんな部活から勧誘を受けているのだが、突然、仕事で抜けることが多いらしく、助っ人としていつも参加していた。なので、完全に悪い人ではないのだろうけど…。

咲良さんや柳くんの幼馴染だから一緒にいるが、最近では彼と一緒にいると次は何を言われるのだろかとビクビクしてしまう。

「はぁー…。」

寮の部屋で宿題をしながら大きなため息をついてしまった。

「あら、今日の宿題そんなに難しかったかしら?」

咲良さんは既に宿題を終えて紅茶を飲んでいた。

「宿題ならさっき終わったぁ…。わたし、真宮くんに嫌われてるのかなぁ…。って思って。」

柳くんに言われてから咲良さんと深雪さんにもため口で会話することにした。

「あぁ、彼のことなら気にする必要はないですわ。本当に嫌いな自分つには会話すらしない人だから琴乃さんは嫌われてませんわ!」

「そうなのぉ~?それでも言葉が刺さってくるぅ…。」

「口が悪いのは昔からだからあきらめた方がいいです。」
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