花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
「ねぇねぇ、琴乃さんはクルーズパーティについてどこまでご存じなの?」

深雪さんがランチが終わると聞いてきた。

「どこまでって…。お便りにもあった通り、生徒会が主催で行うクルーズパーティでマナーを学ぶため。ってことくらい?他に何かあるの??」

「うふふっ!やっぱりご存じないのね!」

「あぁ、私もあの事についてはお伝えしてませんでしたわ!」

「あの事?クルーズパーティって何かあるの?」

クルーズパーティについて尋ねると、深雪さんがテンション高めに教えてくれた。

「実はね!このクルーズパーティで男子が着るタキシードポケットチーフの色を好きな女なの子の着るドレスの色にすると結ばれるってジンクスがあるのよ!だから、男子は女の子ドレスの色を気にしてるの。恋人同士はあらかじめ相談して色を合わせるそうよ!」

「へ~~~。そんな話があるのね!もしかして深雪さん、誰かに聞かれた!?」

「うふふっ。それは秘密よ。」

「えーっ!気になるぅ~~~!!」

残念んながら深雪さんは最後まで誰に聞かれたのかは教えてくれなかった。

「ただのジンクスよ。偶然色がかぶることもあるわっ。」

深雪さんと私が盛り上がっていると、咲良さんはさらっと会話を流した。
確かに偶然色がかぶることだってあるだろう。
でも、同じ色のチーフを付けた人がいたら、もしかして私のことを好きなのでは…とドキドキしてしまう。
きっと、それもクルーズパーティの楽しみの一つになっているのだろう。

「こないだ送られてきた写真だと咲良さんのドレスは黄色、琴乃さんは紺色よね!当日が楽しみだゎ~!」

と、深雪さん一人わくわくしていた。
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