花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
時計をチラッと見ると、あと15分で一年生のダンスが始まる時間になっていた。
婚約者から貰った時計はブレスレットタイプなので今日の様なフォーマルな装いでも身につけていても違和感が無いものだった。

ダンスは一年生から順番にメイン会場へ集まり踊ることになっていた。そして、実はただ踊るだけではなく各学年のベストカップルが選ばれ、商品として有名なテーマパークのチケットとそのテーマパークのホテルへの宿泊券が貰えるのだった。

とても人気のあるテーマパークなので、皆ベストカップルに選ばれたくて練習を頑張っていたのだ。

 真宮くんも実はチケット狙いなのかなぁ?

もし、そうだとしたら足を引っ張らない様に頑張らねば!と思った。コレは彼に対しての思いやりからではなく、足を引っ張ってしまった際に浴びせられる暴言を回避する為の頑張らねば!なのだ。

一年生のダンスが終わり、船内アナウンスで二年生が呼ばれた。ちょうどA組で固まっていたので、クラス全員でメイン会場へと移動をする。

ふと、咲良さんを見るとしっかり柳くんがエスコートをしていた。
移動で使う階段では転ばない様に咲良さんの手を取り柳くんが一段下を歩く。
その優雅な姿の2人を見ているだけで幸せな気持ちになりボーっと見惚れてしまう。

「お前、修治(しゅうじ)の事が好きなの?」
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