花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
広げられたパンフレットには『私立聖麗学園大学付属高校(わたくしりつせいれいがくえんだいがくふぞくこうこう)』と書かれていた。この学校は学力だけではなく入学金や授業料が半端なく高いので本物のお金持ちしか通えないと噂される学校だった。3年間この学校に通うだけで、戸建が買えると噂されている。ただ、授業料が高いだけではなく、それに伴ったカリキュラムが組まれており、アジア圏のご令嬢、ご令息が集まる学校として有名だった。

私が通う高校も学力面では悪くないが公立高校なので限界がある。

聖麗学園は履歴書スペックとしては完璧だ。
お母さんの言う通り、こな学校に通い卒業してから考えるのもありなのかもしれない。

私をこれだけすごい学校に編入させるなんて相手の人はどこまでお金持ちなのだろうか…。年齢や職業を聞いても『一切教えられない』との一点張りで何の情報も得られなかった。

結婚を考えている相手に対し全てを非公開にするのはあまりにも失礼な話だしフェアではない気がした。

「ねぇ、お父さん、この話を受ける条件として私から相手にひとつお願いって出来ないかしら?」

「取り敢えず言ってみろ。父さんから話をしてみよう。」

その後、相手の方が私のお願いを了承してくれたと教えてもらった。
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