花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
「二人きりと言えば…、琴乃さんだって真宮くんと二人きりでしたよね?」

と私の話題に咲良さんが切り替える。柳くんとのことは触れられたくないのだろうか?
どう見ても柳くんは咲良さんが好きに見えるんだけど…。

「私が真宮くんと二人きりになったのは、二人が置いて行ったからでしょ~!お互い、なりたくて二人きりになったわけじゃないもん。」

1人きりになっていた私に真宮くんは仕方なく一緒にいたに過ぎない。

「でもぉ~、真宮くんのチーフ、琴乃さんのドレスと同じ紺色でしたよね?咲良さん!」

「確かに紺色でしたわね!事前にドレスを試着した写真を見ているから琴乃さんのドレスの色をご存じでしたもの。可能性はありますわっ!」

「それこそ偶然よー!本人にも『たまたまだっ!』って言われたし~。それよりも…。」

二人に生徒会長と出来事を話した。

「うーん、それは怪しいですわね!」

咲良さんは名探偵のように顎に手をあて考え込む。

「でも、琴乃さんの言う通り、学生には無理な贈り物よ~。」

三人で頭を悩ませる。もし、生徒会長が婚約者でなかったとしてもきっと何か関りがあるのかもしれない。

その後もガールズトークは盛り上がり、夕食の時間ぎりぎりまで牡丹館にお邪魔していた。
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