花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
振替休日が終わり、学校へ登校するとクルーズパーティで誰と誰がくっついたと噂話が絶えなかった。
朝のホームルームの開始を告げるチャイムはとっくになり終えているのだが、誰も席に着く様子はなく、皆噂話で盛り上がっていた。
咲良さんのドレスと同じ色のチーフを付けていた柳くんも、クラスの男子生徒から探りを入れられていたのだが、

「あはは、偶然だよ偶然。」

とさらっと流していた。あの日、真宮くんのスマホには『咲良さんと二人になりたい。』といった内容のメッセージを送ってきているのだから好意はあるのだろう。

 でも、咲良さんからの話だと告白はされていないようだし…。

告白の意思があり二人きりになるチャンスもあり、気持ちを打ち明ける勇気が出ずにそのまま終わるなんて、彼の性格からしてきっと柳くんはしないだろう。となると、気持ちがあることをアピールしつつも打ち明けられない事情があるのかもしれない。

朝からこの様子だと私と真宮くんもドレスと同じ色のチーフカップルとして噂になってしまっているのかと気になったが、なぜかわからないがそんな心配は不要だった。

「私たち、噂になってないみたい!良かったね!」

と真宮くんに話しかけると、

「は?どーでもいい。」

と、いつものそっけない真宮くんに戻っていた。

「おーい、みんな、席に着けー!」

いつもより少し遅めに先生が入ってくると、ホームルームが始まった。
出席の確認を行い、一通り連絡事項を伝え終わると、

「おーい、内田、放課後生徒会室に来てくれ~。」

と、先生に集合をかけられた。
< 41 / 113 >

この作品をシェア

pagetop