花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
 生徒会室?なんの用事だろう?

まったく心当たりがない。生徒会との接点と言えば、こないだのクルーズパーティで生徒会長と顔を合わせたくらいだ。

「お前、生徒会で何かやんの?」

真宮くんが不思議そうに聞いてくるが全く検討もつかない。

「さぁ…。何で呼ばれたのか全く予想がつかないんだけど…。」

「もし、困ったことになったら晴翔に相談すればいいよ。口は悪いけど天才だからね。」

「修治、一言多いぞ。」

柳くんと真宮くんのやり取りに笑ってしまった。柳くんから真宮くんの頭の良さをきいてはいるがただの口の悪い高校生にしか見えない。

放課後、咲良さんに生徒会室の場所を教えてもらい一人で向かった。
『トントン』とノックをし、返事を待つが部屋の中からは何も聞こえない。

 来るの早かったかしら?

「ごめん、待たせちゃった?」

耳元で後ろから男性の低い声が静かに響く。

「ひゃっ!」

びっくりして飛び上がってしまう。後ろを振り返ると船で会った生徒会長が立っていた。彼は制服のズボンのポケットから生徒会室のカギを出し、カギを開けるとドアを開けた。

「さぁ、どうぞ、プリンセス。」

生徒会長はふざけながら私を生徒会室の中へ招き入れた。
学生生活のなかで『生徒会』と名がつくものに関わった経験がないので、以前いた学校の生徒会室ですら入ったことがなかった。生まれて初めて踏み入れる『生徒会室』に少し緊張していた。
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