花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
プラネタリウムの星空を見ているとクルーズパーティーの夜に真宮くんと2人で見上げた星空を思い出す。いつも文句ばかり言ってくる彼なのに、嫌がらず常にエスコートしてくれたりと、あの日は何故かとても優しくて、隣で星の話を黙って聞いているのが心地良かった。

 また、あの夜みたいに彼の優しい顔を見せてくれないかな…。

「そう言えば、柳くんから聞きましたわよ、ミス聖麗の話。」

ベッドから突然体を捻って起こすと、咲良さんは私を見た。約束通り柳くんが伝えてくれたようだった。

「恥ずかしくて、すぐに話せなくてごめんね。なんか、人が足りないとかで参加することになっちゃって…。」

「琴乃さんは可愛らしいしスタイルもいいから絶対に1番になれるわ!」

「私なんて所詮人数合わせだから…。ははっ。」

「わたくしは琴乃さんに必ず1票入れますわっ!」

「ありがとう!」

「文化祭といえばクラスの出し物を明日決めるって先生がこないだおっしゃってましたわ!わたくしのクラスは去年は甘味処をしたのよ!実家の仲居さんの着物を借りてきて和風な感じでとても繁盛しましたのよ!」

「着物なんて素敵!咲良さんは自分で着付けできるの?私、着物を着たのは七五三が最後よぉー!」

「子供の頃から着物は普段着のように着ていたから着付けは慣れてるの。」

「すご〜い!羨ましーい!」

「嫌で無ければそのうち教えて差し上げますわ!」

「咲良さん、ありがと〜!」

今度実家に帰った時に着物を持ってくるので、それを使って着付けを教えてもらうことになった。
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