花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
一通り巡ったので、咲良さんと二人でグランド横にあるお手洗いに行った。
後夜祭という事もあり、女子トイレはいつになく列ができており、さらにおしゃれな生徒たちはパウダールームでお化粧を直したりしていたので、より混雑していた。
個室から出ると咲良さんの姿が見当たらないので、おそらく先に外へ出たのだと思う。
手を洗うために並んでいると知らない女子生徒に声をかけられた。
「あなた、さっき生徒会の古賀くんとクレープ食べてた人よね?」
あ…。これはもしや…。
「一緒に食べてたというか…。勝手にかじられたというか…。」
あの時はあいさつ程度にしか会話をしてないので、一緒に食べていたというには語弊があると思った。
「あなた何者?彼の友達か何か?」
あぁ…。これは絶対に深雪さんが教えてくれた古賀くんファンの『過激派』という人たちだ。
何者かと聞かれても友達というほど仲良くもないので返答に困る。仲が良いと思われると何かされそうな気がした。
「えっと…。ただの知り合いという感じでしょうか…。」
早く手を洗って外へ出たい。こんなところで絡まれるのはごめんだった。
「はぁっ?ただの知り合いがあんなに仲良く一つのクレープを食べるわけ?嘘つくんじゃないわよっ!!」
…どうしよう。スイッチを押してしまったようだ。
「ほんと生徒会のお手伝いを頼まれて、最近知り合っただけなんです。」
「まだそんな嘘をっ!」
声をかけてきた生徒とは別の生徒が突き飛ばしてきたので、その勢いで尻もちをついて地面にひっくり返る。
「ただの知り合いならこれ以上仲良くしないでちょうだい!」
と言って、水道の蛇口を指で半分抑えて水をかけられた。地面に倒れた状態で水をかけられたので頭からびしょ濡れになってしまった。水をかけて気が済んだのか、絡んできた女子生徒たちはさっさと女子トイレからケラケラ笑いながら出て行った。
最悪…。今時こんないじめする人がいたんだ…。
ゆっくり起き上がって、手を洗いトイレを出た。11月の夜にずぶ濡れは風が冷たく結構つらかった。
…っくしゅん。
尻もちついたところが、まだジンジンして痛みが残る。
「琴乃さん!どうなさったの??」
「お前何でずぶ濡れなんだよっ!」
咲良さんが慌てて駆け寄りハンカチで濡れたところを拭いてくれ、真宮くんは私の濡れたブレザーを脱がせ、自分のブレザーを肩にかけてくれた。真宮くんのシトラスの香りになぜかホッとした。
「さっき、過激派で有名な古賀のファンがトイレから出てきたけれど…。」
柳くんはまさかという顔をした。
「あははっ…。古賀くんが私のクレープかじったのが気に入らなかったらしい…。」
「はぁ?お前、あいつに勝手にクレープかじられただけじゃん、なのになんだよっ!!」
「この後、花火があがるんでしょ?わたし、先に帰るけど気にせず楽しんで!」
一人で帰ろうとしたのだが、真宮くんが寮まで自分が送ると言って引かず、寮の玄関先まで一緒に帰った。
後夜祭という事もあり、女子トイレはいつになく列ができており、さらにおしゃれな生徒たちはパウダールームでお化粧を直したりしていたので、より混雑していた。
個室から出ると咲良さんの姿が見当たらないので、おそらく先に外へ出たのだと思う。
手を洗うために並んでいると知らない女子生徒に声をかけられた。
「あなた、さっき生徒会の古賀くんとクレープ食べてた人よね?」
あ…。これはもしや…。
「一緒に食べてたというか…。勝手にかじられたというか…。」
あの時はあいさつ程度にしか会話をしてないので、一緒に食べていたというには語弊があると思った。
「あなた何者?彼の友達か何か?」
あぁ…。これは絶対に深雪さんが教えてくれた古賀くんファンの『過激派』という人たちだ。
何者かと聞かれても友達というほど仲良くもないので返答に困る。仲が良いと思われると何かされそうな気がした。
「えっと…。ただの知り合いという感じでしょうか…。」
早く手を洗って外へ出たい。こんなところで絡まれるのはごめんだった。
「はぁっ?ただの知り合いがあんなに仲良く一つのクレープを食べるわけ?嘘つくんじゃないわよっ!!」
…どうしよう。スイッチを押してしまったようだ。
「ほんと生徒会のお手伝いを頼まれて、最近知り合っただけなんです。」
「まだそんな嘘をっ!」
声をかけてきた生徒とは別の生徒が突き飛ばしてきたので、その勢いで尻もちをついて地面にひっくり返る。
「ただの知り合いならこれ以上仲良くしないでちょうだい!」
と言って、水道の蛇口を指で半分抑えて水をかけられた。地面に倒れた状態で水をかけられたので頭からびしょ濡れになってしまった。水をかけて気が済んだのか、絡んできた女子生徒たちはさっさと女子トイレからケラケラ笑いながら出て行った。
最悪…。今時こんないじめする人がいたんだ…。
ゆっくり起き上がって、手を洗いトイレを出た。11月の夜にずぶ濡れは風が冷たく結構つらかった。
…っくしゅん。
尻もちついたところが、まだジンジンして痛みが残る。
「琴乃さん!どうなさったの??」
「お前何でずぶ濡れなんだよっ!」
咲良さんが慌てて駆け寄りハンカチで濡れたところを拭いてくれ、真宮くんは私の濡れたブレザーを脱がせ、自分のブレザーを肩にかけてくれた。真宮くんのシトラスの香りになぜかホッとした。
「さっき、過激派で有名な古賀のファンがトイレから出てきたけれど…。」
柳くんはまさかという顔をした。
「あははっ…。古賀くんが私のクレープかじったのが気に入らなかったらしい…。」
「はぁ?お前、あいつに勝手にクレープかじられただけじゃん、なのになんだよっ!!」
「この後、花火があがるんでしょ?わたし、先に帰るけど気にせず楽しんで!」
一人で帰ろうとしたのだが、真宮くんが寮まで自分が送ると言って引かず、寮の玄関先まで一緒に帰った。