花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
「そう言えば最近古賀くんの姿がないですわね。」

「いない方が静かでいいんじゃねぇか?」

咲良さんと真宮くんが頻繁にA組に顔を出していた古賀くんが最近来てないことに気づいた。
実は真宮くんから注意されたことと、先日、生徒会室で私の婚約者に消されるのではないかと言われたことを気にしているようで、用事がない限り無駄に寄ってくることがなくなっていた。

「そう言えば琴乃さん、今日でしたわよね?クリスマスパーティ。」

「そうなの、ホームルーム終わったら直ぐに行くから、今日は一緒に帰れないの。ごめんなさい。」

「大丈夫よ、楽しんで。」

「今日何かあるのか?」

「うん、この後、生徒会室でクリスマスパーティをやることになってるの。」

「ふーん。古賀もいるのか…?」

「まぁ…。そうだけど…?でも、最近、私の婚約者に怯えて何も言ってこないから平気だよ!」

「お前の婚約者に怯えてるって、どーゆー事だ?」

「んー…。生徒会のみんなが、そのうち私の婚約者に消されるぞって言ったらおとなしくなった。」

「何だそれ!?」

「クリスマスイブに私の事をほったらかしにするような婚約者に怯える必要なんかないのにねー!」

「…ほったらかしって。会えない事情があるんだろ?」

「そうなんだろうけど…。」

 恋人ではないにしろ、クリスマスイブになっても何の連絡もないのは寂しい。12月の贈り物もまだ届いてない。

「将来結婚したら嫌でもずっと一緒なんだ。今年のクリスマスイブに会えないからって気にすんな。」

真宮くんくんは私を慰めてくれてるようだった。
その後、予定通り、終業式後のホームルームが終わると生徒会室へ向かった。
先に来てきた牧野さんと副会長が生徒会室をクリスマス仕様に飾り付けていたので、皆んなが揃うまでパーティの準備を手伝った。

「皆んなお待たせ!ケーキ受け取ってきたよー」

「なんかすげーな!いつもの生徒会室とは違って僕感動しちゃう!」

「はい、皆んなでコレをかぶって写真撮りましょうよぉ〜!」

牧野さんがひとりひとりにサンタクロースの帽子を渡す。

「なんか、コレかぶると一気にクリスマスって感じね!」

「琴乃ちゃん似あってますぅ〜!」

「はい、では皆さん、コレからクリスマスパーティを始めまーす!」

「「「「はーい!」」」」

『パーンッ』と会長の開会宣言の後にみんな揃って元気よく返事をすると、一斉にクラッカーを鳴らす。
何歳になってもクリスマスは楽しいと思った。
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