花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
コンコン。
「失礼します。」
「あ!琴乃さん!真宮くんの荷物ですね!ありがとうございます。」
「あ、うん、どこに置けば…。」
「カーテンの向こうで眠っているのでそちらに…。」
「わかった。」
中高で共同で使用する保健室は広めにスペースが取られており3台のベッドがカーテンで仕切られる形で部屋の奥に設置されていた。
一つだけカーテンが閉められたベッドがあったので、きっとそこが真宮くんが寝ているベッドなのだろうと予想し、荷物をもってカーテンの中へ入った。
保健室は冬の乾燥に備えて加湿器が置かれていて、他の教室とは違うしっとりとした温かさがあった。
保健委員の深雪さんは、ケガした生徒や体調の悪い生徒の対応で忙しそうにしており、しばらくは手が空く様子はなかった。
「…真宮くん?大丈夫?」
声をかけてみたが眠りが深いのか反応がなかった。
「荷物持って来たんだけど…。」
返事が無いのでベッド脇にある椅子に座り、真宮くんが気づくかもしくは深雪さんの手が空くのを待つとこにした。
「…寒い。」
「え?寒いの?」
熱のせいなのだろう。寒さを訴えるので、首元まで布団をかけ直してあげようと布団を掴むと、うっすらと目を開けコチラを見た。
寝ぼけているのか、それとも熱で浮かされているのか視線が合っている様な合っていないような状態でこちらを見てにっこり笑った。
知ってる顔を見て安心したのかな?
真宮くんの笑顔。好きだな。
笑顔の理由を思い浮かべながら掛布団を持つ手に力を入れて頭の方に少し引き上げようとした時だった。
掛布団の横から伸びた手に後頭部を掴まれると前に倒れこみ真宮くんの唇と私の唇が重なる。
真宮くんの手から力が抜けたすきに体を起こし顔を話すと彼はこちらをぼーっと見つめていた。
「…俺も、大好きだ。」
ギリギリ聞き取れる声量で呟くと、にっこり微笑んでそのまま眠ってしまった。
…。
…。
…っき、キスされた。
許可も確認もなくあっさりと真宮くんにファーストキスを奪われてしまった。
きっとこんな状態なのだから彼は記憶には残っていないだろう。
ほんと、真宮くんなんて大っ嫌い!!!!!!
『…俺も、大好きだ。』って言ってた。
絶対に好きな女の子の夢を見てたのよっ!
勝手に間違えて勝手にキスするなんて!!!
ほんっっっとに許せない!!!
真宮くんが眠るベッドの脇でキスされた恥ずかしさと、勝手にキスされた怒りで真っ赤になっていると、カタンっとボールペンが落ちる音がした。音がした方を振り向くとびっくりした顔の深雪さんが立っていた。
「『…俺も、大好きだ。』って…。琴乃さん、真宮くんに告白したんですか!?カっ…カップル誕生!?」
「ちっ!違うの、深雪さん!私の話を聞いてー!私、被害者なのぉ~~っ!!!!」
タイミング悪く他に人が居なくなった保健室は小さな声でも聞こえていたようだ。直ぐにここで起きたすべてを説明し深雪さんの誤解を解いた。
「熱があったとは言え、真宮くん最低ですね。琴乃さんのファーストキスを奪うなんて!!!!」
「この状態じゃ、きっと覚えてないわよ。だから秘密にしていて…。」
「真宮くんにキスされたってファンの子たちが聞いたら、古賀くんの時の様に女子生徒に囲まれてしまいますね。」
「そんな怖いこと言わないで~!」
文化祭の時のことを思い出し、背筋がぞくっとした。
「失礼します。」
「あ!琴乃さん!真宮くんの荷物ですね!ありがとうございます。」
「あ、うん、どこに置けば…。」
「カーテンの向こうで眠っているのでそちらに…。」
「わかった。」
中高で共同で使用する保健室は広めにスペースが取られており3台のベッドがカーテンで仕切られる形で部屋の奥に設置されていた。
一つだけカーテンが閉められたベッドがあったので、きっとそこが真宮くんが寝ているベッドなのだろうと予想し、荷物をもってカーテンの中へ入った。
保健室は冬の乾燥に備えて加湿器が置かれていて、他の教室とは違うしっとりとした温かさがあった。
保健委員の深雪さんは、ケガした生徒や体調の悪い生徒の対応で忙しそうにしており、しばらくは手が空く様子はなかった。
「…真宮くん?大丈夫?」
声をかけてみたが眠りが深いのか反応がなかった。
「荷物持って来たんだけど…。」
返事が無いのでベッド脇にある椅子に座り、真宮くんが気づくかもしくは深雪さんの手が空くのを待つとこにした。
「…寒い。」
「え?寒いの?」
熱のせいなのだろう。寒さを訴えるので、首元まで布団をかけ直してあげようと布団を掴むと、うっすらと目を開けコチラを見た。
寝ぼけているのか、それとも熱で浮かされているのか視線が合っている様な合っていないような状態でこちらを見てにっこり笑った。
知ってる顔を見て安心したのかな?
真宮くんの笑顔。好きだな。
笑顔の理由を思い浮かべながら掛布団を持つ手に力を入れて頭の方に少し引き上げようとした時だった。
掛布団の横から伸びた手に後頭部を掴まれると前に倒れこみ真宮くんの唇と私の唇が重なる。
真宮くんの手から力が抜けたすきに体を起こし顔を話すと彼はこちらをぼーっと見つめていた。
「…俺も、大好きだ。」
ギリギリ聞き取れる声量で呟くと、にっこり微笑んでそのまま眠ってしまった。
…。
…。
…っき、キスされた。
許可も確認もなくあっさりと真宮くんにファーストキスを奪われてしまった。
きっとこんな状態なのだから彼は記憶には残っていないだろう。
ほんと、真宮くんなんて大っ嫌い!!!!!!
『…俺も、大好きだ。』って言ってた。
絶対に好きな女の子の夢を見てたのよっ!
勝手に間違えて勝手にキスするなんて!!!
ほんっっっとに許せない!!!
真宮くんが眠るベッドの脇でキスされた恥ずかしさと、勝手にキスされた怒りで真っ赤になっていると、カタンっとボールペンが落ちる音がした。音がした方を振り向くとびっくりした顔の深雪さんが立っていた。
「『…俺も、大好きだ。』って…。琴乃さん、真宮くんに告白したんですか!?カっ…カップル誕生!?」
「ちっ!違うの、深雪さん!私の話を聞いてー!私、被害者なのぉ~~っ!!!!」
タイミング悪く他に人が居なくなった保健室は小さな声でも聞こえていたようだ。直ぐにここで起きたすべてを説明し深雪さんの誤解を解いた。
「熱があったとは言え、真宮くん最低ですね。琴乃さんのファーストキスを奪うなんて!!!!」
「この状態じゃ、きっと覚えてないわよ。だから秘密にしていて…。」
「真宮くんにキスされたってファンの子たちが聞いたら、古賀くんの時の様に女子生徒に囲まれてしまいますね。」
「そんな怖いこと言わないで~!」
文化祭の時のことを思い出し、背筋がぞくっとした。