花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
深雪さんに真宮くんの荷物をお願いし保健室の先生が来たところでお昼ご飯を食べるために食堂へ向かった。
昼休みの時間も半分を過ぎると、食堂もだいぶ閑散とし、どこでも座れる状態だった。
時間もないのでミルクティとホットサンドをトレイにのせ、一人用のカウンター席に座り食事をしていたのだが、ふとした瞬間に保健室での出来事を思い出しては一人で赤面していた。
「ねぇねぇ!今日って真宮先輩の誕生日なんだって!」
「えっ?そうなの?誕プレ用意すればよかったー!」
カウンターの後ろ席で食事を終えた女子生徒グループの声が聞こえてきた。
「あっ、でも、こないだお父さんから聞いたんだけど…。内緒だよ!真宮先輩って婚約者がいるらしいよ~!」
「えっ!まじでっ!その人羨ましーい!」
「やっぱ、あそこまでハイスペックだとお相手の女性も凄そうだよね~!」
「うんうん、超お嬢様って人なんじゃない?お父さんの知り合いが真宮くんのお父さんと仕事で付き合いがあって、娘さんをお相手にって話をしたら既に婚約してるって言われたんだって!」
「そーなんだー!なんかざんねーん!」
っえ?真宮くんも婚約者いたんだ…。
後ろに座る女子生徒の話にズキっと胸が痛んだ。
さっき、キスをされて少し意識してしまったせい?
婚約者がいる事を教えてもらえなかったせい?
胸が痛んだ理由は分からなかったが寂しい気持ちだけが残った。
きっと、彼女たちが話している真宮くんの婚約者とは彼が以前好きな女の子として話していた子なのだろう。そして、今日保健室で私と間違えた女の子。以前、真宮くんが私に対する古賀くんの態度をみて婚約者がいる人だと注意をしたのは、自分の立場に置き換えた時にきっと不快に感じたからなのだ。
真宮くんの婚約者ってどんな子なんだろう。
『…俺も、大好きだ。』と呟いた彼の笑顔は本当に幸せで溢れた顔をしていた。
私もいつかどこの誰かもわからない婚約者にそう言われる日が来るのだろうか…。
互いに思いあっている真宮くんたちとは違い始めから私たちの間には愛はない。少なくとも私にはこの学校に通わせてもらっている恩しかないのだ。口の悪い悪魔な彼にあんな顔をさせる彼の婚約者が羨ましかった。
何とも言えない気持ちのまま教室の戻ると柳くんがいたので、ちゃんと保健室に真宮くんの荷物を置いてきたと報告をした。
柳くんは真宮くんの婚約のこと知ってるのかなぁ?
以前、咲良さんに真宮くんの好きな人の話をしたときは何も知らない感じだったけど…。
「ねぇ、柳くん、さっき食堂で耳にしたんだけど…。」
「うん、何?」
「真宮くんに婚約している人がいるって本当?」
「えっ!?」
凄く驚いた顔をして私を見た。
「誰から聞いたの?」
他の人に聞こえない様に小声になっていたので同じように小声で返す。
「知らない一年生のコたちなんだけど、その子の父親つながりとかで知ったとか言ってたかな?」
「あー…。そうか。」
「前に、真宮くんが好きな女の子がいるって話してたんだけど、その婚約者さんのことだったのかな?って思って。」
「俺が答えるのも違う気がするけど、たぶんその好きな子じゃないなあ?あいつが好きになった女の子の話は他に知らないし…。事情があって公にしていないらしいよ。だから、琴乃ちゃんも内緒にしていてあげてくれないかなぁ?咲良も知らない事なんだ。」
「事情があって…。そうだったんだね。わかった!咲良さんにも秘密にしておく!」
二人想い合っていながら公にできない事情…。もしかして、私が古賀君のファンにされたように真宮ファンにばれたらひどい目にあわされるかもしれない、って思ったからってことかしら…。前にタイミングをみて告白するって言ってたけど、婚約したってことはきっとその告白は成功したのだ…。
クリスマスイブの日に彼女の会えたって言ってたからもしかしてその時!?
勝手に想像が膨らんだ。
昼休みの時間も半分を過ぎると、食堂もだいぶ閑散とし、どこでも座れる状態だった。
時間もないのでミルクティとホットサンドをトレイにのせ、一人用のカウンター席に座り食事をしていたのだが、ふとした瞬間に保健室での出来事を思い出しては一人で赤面していた。
「ねぇねぇ!今日って真宮先輩の誕生日なんだって!」
「えっ?そうなの?誕プレ用意すればよかったー!」
カウンターの後ろ席で食事を終えた女子生徒グループの声が聞こえてきた。
「あっ、でも、こないだお父さんから聞いたんだけど…。内緒だよ!真宮先輩って婚約者がいるらしいよ~!」
「えっ!まじでっ!その人羨ましーい!」
「やっぱ、あそこまでハイスペックだとお相手の女性も凄そうだよね~!」
「うんうん、超お嬢様って人なんじゃない?お父さんの知り合いが真宮くんのお父さんと仕事で付き合いがあって、娘さんをお相手にって話をしたら既に婚約してるって言われたんだって!」
「そーなんだー!なんかざんねーん!」
っえ?真宮くんも婚約者いたんだ…。
後ろに座る女子生徒の話にズキっと胸が痛んだ。
さっき、キスをされて少し意識してしまったせい?
婚約者がいる事を教えてもらえなかったせい?
胸が痛んだ理由は分からなかったが寂しい気持ちだけが残った。
きっと、彼女たちが話している真宮くんの婚約者とは彼が以前好きな女の子として話していた子なのだろう。そして、今日保健室で私と間違えた女の子。以前、真宮くんが私に対する古賀くんの態度をみて婚約者がいる人だと注意をしたのは、自分の立場に置き換えた時にきっと不快に感じたからなのだ。
真宮くんの婚約者ってどんな子なんだろう。
『…俺も、大好きだ。』と呟いた彼の笑顔は本当に幸せで溢れた顔をしていた。
私もいつかどこの誰かもわからない婚約者にそう言われる日が来るのだろうか…。
互いに思いあっている真宮くんたちとは違い始めから私たちの間には愛はない。少なくとも私にはこの学校に通わせてもらっている恩しかないのだ。口の悪い悪魔な彼にあんな顔をさせる彼の婚約者が羨ましかった。
何とも言えない気持ちのまま教室の戻ると柳くんがいたので、ちゃんと保健室に真宮くんの荷物を置いてきたと報告をした。
柳くんは真宮くんの婚約のこと知ってるのかなぁ?
以前、咲良さんに真宮くんの好きな人の話をしたときは何も知らない感じだったけど…。
「ねぇ、柳くん、さっき食堂で耳にしたんだけど…。」
「うん、何?」
「真宮くんに婚約している人がいるって本当?」
「えっ!?」
凄く驚いた顔をして私を見た。
「誰から聞いたの?」
他の人に聞こえない様に小声になっていたので同じように小声で返す。
「知らない一年生のコたちなんだけど、その子の父親つながりとかで知ったとか言ってたかな?」
「あー…。そうか。」
「前に、真宮くんが好きな女の子がいるって話してたんだけど、その婚約者さんのことだったのかな?って思って。」
「俺が答えるのも違う気がするけど、たぶんその好きな子じゃないなあ?あいつが好きになった女の子の話は他に知らないし…。事情があって公にしていないらしいよ。だから、琴乃ちゃんも内緒にしていてあげてくれないかなぁ?咲良も知らない事なんだ。」
「事情があって…。そうだったんだね。わかった!咲良さんにも秘密にしておく!」
二人想い合っていながら公にできない事情…。もしかして、私が古賀君のファンにされたように真宮ファンにばれたらひどい目にあわされるかもしれない、って思ったからってことかしら…。前にタイミングをみて告白するって言ってたけど、婚約したってことはきっとその告白は成功したのだ…。
クリスマスイブの日に彼女の会えたって言ってたからもしかしてその時!?
勝手に想像が膨らんだ。