花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
「ねぇねぇ。琴乃ぉ~。ホワイトデーなんだけど、僕とデートしようよー。バレンタインのお返し、一緒に選びに行こうよ。」
「あはは、古賀ってばまったく懲りないねぇ~。」
柳くんが隣で呆れて笑っていた。
「あのバレンタインのブラウニーはわたくしと深雪さんからでもあるのよ!」
「そうです!三人からなのに琴乃さんにだけお返しってずるいです。」
「えー、そうかなぁ~。だって僕が好きなのは琴乃だもぉ~ん。」
「そしたらさぁ~…。」
私はカバンから雑誌を取り出し、苺のスイーツ特集のページを開いた。
「ここのお店の苺パフェなんだけどすっごく美味しそうなの!私、苺のスイーツには目がなくて…。」
開いた雑誌の指さしたところを咲良さんと深雪さんがのぞき込む。
「オープンしたばかりのお店みたいですわね!」
「こちらのリンゴのコンポートを使ったパフェも美味しそうですよ!」
「私たちの意見が一致したみたい!古賀くんよろしく!」
「えぇ~~!僕は琴乃と二人が良かったのにぃ~。」
「わたし、ホワイトデー当日は先輩とデートなので、できれば今日の放課後お願いします。」
「そっか、深雪さんは本命がいるもんね!私は今日で大丈夫だよ~!」
「咲良も行くなら俺も行ってみようかなぁ~。放課後空いてるし。」
「どうぞ、古賀くんがご馳走してくれるようなので。うふふっ。」
「柳もくるの~~!?ってことは…。」
古賀くんはチラッと真宮くんを見た。
「俺は無理。予定がある。」
「よかった。真宮がいなければチャンスがあるかも!」
「ばーか、修治がついてるから古賀にチャンスは一生来ねぇよ。」
「残念だったね、古賀。」
「柳を先に味方にしないと!」
「俺と修治の仲は深いからあきらめろ。」
「…晴翔、今の発言は俺かなり嬉しい。」
「はっ?急になんだよ。嬉しいとか言うなよ。」
珍しく真宮くんは照れていた。そんな真宮くんを見るのは珍しいと皆で揶揄ったのでふてくされて先に帰ってしまった。
学校から20分くらいで雑誌に載っていたパフェのお店へと向かったのだが、平日なのにすごい行列ができていた。
30分は待つと店員さんに言われたのだが、せっかくなのでみんなで並ぶことにした。並びながらおしゃべりでもしていれば30分なんてあっという間に過ぎてしまう。
「あれ、真宮くんじゃないですか?」
深雪さんが反対側の車線に停まっている高級車に乗り込もうとしている真宮くんを発見した。
「ほんとだ!あいつ僕の邪魔しに来たか?」
車に乗ろうとする真宮くんが一度振り返ると同じ年頃のキレイな女性を先に車に乗せ、そのあとに自分も笑顔で乗り込んだ。
「…用事って、デートだったんだ。」
きっと、あの綺麗な女性が真宮くんの婚約者なんだ…。
お似合いな2人を目にするとズキっと胸が痛み、目頭が熱くなるのを感じたので直ぐにあくびをするふりをしてごまかした。
「ふぁ~。順番まだかねぇ~。眠くなっちゃった~。私、あと何番目か見てくるね!」
一人列から離れ待ち順リストを見るために店内へ入った。
はぁ…。ダメだ。本当にこの気持ちを捨てなくては…。
一人になる口実である順番を確認し、深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから列へと戻った。
テンション高くなるはずの苺のパフェも真宮くんのツーショットが目から離れず気持ちが上がりきらない。
苺のパフェを目の前にしてこんなに気持ちが乗らないのは初めてだった。
ホワイトデー当日、真宮くんからは苺のドライフルーツが入ったギモーヴをもらった。
「ちゃんと俺は当日に渡したからな!お前の好きな苺のスイーツだ。」
古賀くんと張り合っているのだろうか?何故だか得意げに渡してきた。
「うん、苺好き。ありがとう。」
お礼を言うと先生に見つからないように急いで
カバンへしまった。
「…それだけか?」
「え?」
「くくくっ…」
私たちのやりとりを見て柳くんが肩を震わせて笑っている。
「ホワイトデー貰えたの琴乃ちゃんだけだよ。」
「あっ、そうなの?わざわざありがとう。そうだよね、あんなに沢山のチョコにお礼してたらキリがないもんね!」
「はっ?そーゆー意味じゃねーし。」
勘違いをしてはいけない。クラスメイトの中で貰えたのが私だけだと言う意味だ。きっと隣の席だから気を遣ってくれたのだろう。
「ごめんね、隣の席だから気を遣わせちゃったね。ありがとう。」
しっかりお礼を言ったのに真宮くんはまた何か気に入らないようで暫くイライラしていた。
寮に戻ると婚約者から贈り物とブーケが届いていた。こちらもわざわざホワイトデーに届くように指定されていたのだろう。
「カードにはなんて?」
「『石に願いを込めて。君の婚約者より。』だって。石って何だろう?」
「贈り物のことじゃないかしら?」
ブーケと一緒に届いた箱を開けてみるとネックレスが入っており、ご丁寧に鑑定書までついていた。
「ガーネットとエメラルド…。」
二つの石で作られたペンダントヘッドは苺のイメージしたデザインになっていた。
「琴乃さんの好きな苺のデザインですわね!よく好みをご存じです事。ガーネットの石言葉は『変わらない愛情』。エメラルドは『幸福、希望』。」
「卒業式の日、生徒会長が私の婚約者が誰かわかったって言ってたの。だけど、本人が秘密にしているなら教えられないって…。」
「えっ!?という事は学校の関係者ですのっ!?」
「もしかすると、こないだみんなで苺のパフェを食べに行く話を耳にしたのかも。」
「だから琴乃さんが苺を好きだってわかったのね!」
「もしかすると単に両親から好きなものを聞いただけかもしれないけど…。」
「学校関係者、怪しいですわね!!」
「あはは、古賀ってばまったく懲りないねぇ~。」
柳くんが隣で呆れて笑っていた。
「あのバレンタインのブラウニーはわたくしと深雪さんからでもあるのよ!」
「そうです!三人からなのに琴乃さんにだけお返しってずるいです。」
「えー、そうかなぁ~。だって僕が好きなのは琴乃だもぉ~ん。」
「そしたらさぁ~…。」
私はカバンから雑誌を取り出し、苺のスイーツ特集のページを開いた。
「ここのお店の苺パフェなんだけどすっごく美味しそうなの!私、苺のスイーツには目がなくて…。」
開いた雑誌の指さしたところを咲良さんと深雪さんがのぞき込む。
「オープンしたばかりのお店みたいですわね!」
「こちらのリンゴのコンポートを使ったパフェも美味しそうですよ!」
「私たちの意見が一致したみたい!古賀くんよろしく!」
「えぇ~~!僕は琴乃と二人が良かったのにぃ~。」
「わたし、ホワイトデー当日は先輩とデートなので、できれば今日の放課後お願いします。」
「そっか、深雪さんは本命がいるもんね!私は今日で大丈夫だよ~!」
「咲良も行くなら俺も行ってみようかなぁ~。放課後空いてるし。」
「どうぞ、古賀くんがご馳走してくれるようなので。うふふっ。」
「柳もくるの~~!?ってことは…。」
古賀くんはチラッと真宮くんを見た。
「俺は無理。予定がある。」
「よかった。真宮がいなければチャンスがあるかも!」
「ばーか、修治がついてるから古賀にチャンスは一生来ねぇよ。」
「残念だったね、古賀。」
「柳を先に味方にしないと!」
「俺と修治の仲は深いからあきらめろ。」
「…晴翔、今の発言は俺かなり嬉しい。」
「はっ?急になんだよ。嬉しいとか言うなよ。」
珍しく真宮くんは照れていた。そんな真宮くんを見るのは珍しいと皆で揶揄ったのでふてくされて先に帰ってしまった。
学校から20分くらいで雑誌に載っていたパフェのお店へと向かったのだが、平日なのにすごい行列ができていた。
30分は待つと店員さんに言われたのだが、せっかくなのでみんなで並ぶことにした。並びながらおしゃべりでもしていれば30分なんてあっという間に過ぎてしまう。
「あれ、真宮くんじゃないですか?」
深雪さんが反対側の車線に停まっている高級車に乗り込もうとしている真宮くんを発見した。
「ほんとだ!あいつ僕の邪魔しに来たか?」
車に乗ろうとする真宮くんが一度振り返ると同じ年頃のキレイな女性を先に車に乗せ、そのあとに自分も笑顔で乗り込んだ。
「…用事って、デートだったんだ。」
きっと、あの綺麗な女性が真宮くんの婚約者なんだ…。
お似合いな2人を目にするとズキっと胸が痛み、目頭が熱くなるのを感じたので直ぐにあくびをするふりをしてごまかした。
「ふぁ~。順番まだかねぇ~。眠くなっちゃった~。私、あと何番目か見てくるね!」
一人列から離れ待ち順リストを見るために店内へ入った。
はぁ…。ダメだ。本当にこの気持ちを捨てなくては…。
一人になる口実である順番を確認し、深呼吸をして気持ちを落ち着かせてから列へと戻った。
テンション高くなるはずの苺のパフェも真宮くんのツーショットが目から離れず気持ちが上がりきらない。
苺のパフェを目の前にしてこんなに気持ちが乗らないのは初めてだった。
ホワイトデー当日、真宮くんからは苺のドライフルーツが入ったギモーヴをもらった。
「ちゃんと俺は当日に渡したからな!お前の好きな苺のスイーツだ。」
古賀くんと張り合っているのだろうか?何故だか得意げに渡してきた。
「うん、苺好き。ありがとう。」
お礼を言うと先生に見つからないように急いで
カバンへしまった。
「…それだけか?」
「え?」
「くくくっ…」
私たちのやりとりを見て柳くんが肩を震わせて笑っている。
「ホワイトデー貰えたの琴乃ちゃんだけだよ。」
「あっ、そうなの?わざわざありがとう。そうだよね、あんなに沢山のチョコにお礼してたらキリがないもんね!」
「はっ?そーゆー意味じゃねーし。」
勘違いをしてはいけない。クラスメイトの中で貰えたのが私だけだと言う意味だ。きっと隣の席だから気を遣ってくれたのだろう。
「ごめんね、隣の席だから気を遣わせちゃったね。ありがとう。」
しっかりお礼を言ったのに真宮くんはまた何か気に入らないようで暫くイライラしていた。
寮に戻ると婚約者から贈り物とブーケが届いていた。こちらもわざわざホワイトデーに届くように指定されていたのだろう。
「カードにはなんて?」
「『石に願いを込めて。君の婚約者より。』だって。石って何だろう?」
「贈り物のことじゃないかしら?」
ブーケと一緒に届いた箱を開けてみるとネックレスが入っており、ご丁寧に鑑定書までついていた。
「ガーネットとエメラルド…。」
二つの石で作られたペンダントヘッドは苺のイメージしたデザインになっていた。
「琴乃さんの好きな苺のデザインですわね!よく好みをご存じです事。ガーネットの石言葉は『変わらない愛情』。エメラルドは『幸福、希望』。」
「卒業式の日、生徒会長が私の婚約者が誰かわかったって言ってたの。だけど、本人が秘密にしているなら教えられないって…。」
「えっ!?という事は学校の関係者ですのっ!?」
「もしかすると、こないだみんなで苺のパフェを食べに行く話を耳にしたのかも。」
「だから琴乃さんが苺を好きだってわかったのね!」
「もしかすると単に両親から好きなものを聞いただけかもしれないけど…。」
「学校関係者、怪しいですわね!!」