花嫁は婚約者X(エックス)の顔を知らない
先日、母親から『GWは戻ってくるんでしょ?誕生日にレストランを予約しておきますね。』とメッセージが届いたので、『GWは初日に帰るよ』と返信をした。
パスポートを持っていない私は6月の修学旅行に向けて準備が忙しかった。パスポートは何とか必要書類を集め申請まで終えたので後は取りに行くだけになっていたが、他にも必要なものをそろえるのにバタバタしていた。気が付くとあっという間にGWだった。あれだけ毎日べたべたしてくる真宮くんなので誕生日に一緒に過ごそうと騒いでくるのかと思いきや何も言ってこなかった。そう言えば咲良さんには誕生日を教えたが他の人には私の誕生日を知らせていていないので、何も言われなくても特に不思議には思わなかった。
事前にお母さんがシーツを洗濯したり掃除機をかけておいてくれたが、普段使われていない自宅の部屋は埃っぽいく、細かいところの埃が気になり掃除をしてから、その後やっとのんびりと過ごせた。
ベッドに寝っ転がりスマホでゲームをしていると『コンコン』と扉がノックされ
「琴乃、入っていいか?」
と珍しくお父さんが部屋にやってきた。
「どうしたの?」
「いやぁ、その…。学校はどうだ?楽しくやってるか?」
「そうね、無理やり転校させられて大変だったけど友達もできて何とかやってるよ。」
少し意地悪な返事をした。だってお父さんのせいで勝手に婚約させられ、しかも転校までさせられたのだ。ちょっとくらい意地悪な言い方をしなければ気が済まなかった。
「…そうか。彼からの贈り物はどうだ?」
「高校生には似つかわしくない高級品ばかり送られてくるよ。かと思えばお土産みたいなか可愛らしいものまで色々届くよ。風邪を引いた時には医療品やサプリメントやら大量の看護グッズが段ボールで届いて驚かされたよ…。贈り物以外に必ず小さなブーケとカードを付けてくれるし…。ずっとお父さんの仕事繋がりだけの婚約だと思ってたけれど、相手の人は私のことを知ってるんじゃないかと思うくらい私好みのものを贈ってくれてるよ。」
「ほぉ…。それは興味深いな。」
考え深そうに聞いていた。しばらくお父さんが無言で考え込んでいたので、世間話として真宮くんのはなしをしてみた。
「そういえば、クラスメイトの男の子ががお父さんの会社と同じスピカグループの子会社の社長をしてるらしいよ。」
「そりゃ、きっと真宮社長のご子息だな。社内でも仕事ができる天才少年だと昔から有名だよ。な…仲いいのか??ど、どんな子なんだ?」
何か私が失礼なことをしていないのか心配でもしているのだろうか。少し上ずった声で聞いてきた。
まさかそのご子息に溺愛されている。とも、好きになってしまった。とも言えるわけがない。
「最初は口うるさい嫌な奴って感じだったけど、実際は優しいところもあっていい人だよ。」
「…実際は優しいか…。(人は変わるもんだな…。)」
「優しいって意外だった?お父さん真宮くんの事を知ってるの??」
何かに引っかかった表情をしたお父さんに聞いてみる。
「まぁ、噂を耳にした程度だよ。ハハッ。」
「噂?」
「そうだ、あくまで噂だ。気にするな。お前がいいやつだと思えばそれが事実なんだろう。」
私の近況報告に満足したのか『風呂沸いているからさっさと入れよ。』と言って1階のリビングへと降りて行った。
パスポートを持っていない私は6月の修学旅行に向けて準備が忙しかった。パスポートは何とか必要書類を集め申請まで終えたので後は取りに行くだけになっていたが、他にも必要なものをそろえるのにバタバタしていた。気が付くとあっという間にGWだった。あれだけ毎日べたべたしてくる真宮くんなので誕生日に一緒に過ごそうと騒いでくるのかと思いきや何も言ってこなかった。そう言えば咲良さんには誕生日を教えたが他の人には私の誕生日を知らせていていないので、何も言われなくても特に不思議には思わなかった。
事前にお母さんがシーツを洗濯したり掃除機をかけておいてくれたが、普段使われていない自宅の部屋は埃っぽいく、細かいところの埃が気になり掃除をしてから、その後やっとのんびりと過ごせた。
ベッドに寝っ転がりスマホでゲームをしていると『コンコン』と扉がノックされ
「琴乃、入っていいか?」
と珍しくお父さんが部屋にやってきた。
「どうしたの?」
「いやぁ、その…。学校はどうだ?楽しくやってるか?」
「そうね、無理やり転校させられて大変だったけど友達もできて何とかやってるよ。」
少し意地悪な返事をした。だってお父さんのせいで勝手に婚約させられ、しかも転校までさせられたのだ。ちょっとくらい意地悪な言い方をしなければ気が済まなかった。
「…そうか。彼からの贈り物はどうだ?」
「高校生には似つかわしくない高級品ばかり送られてくるよ。かと思えばお土産みたいなか可愛らしいものまで色々届くよ。風邪を引いた時には医療品やサプリメントやら大量の看護グッズが段ボールで届いて驚かされたよ…。贈り物以外に必ず小さなブーケとカードを付けてくれるし…。ずっとお父さんの仕事繋がりだけの婚約だと思ってたけれど、相手の人は私のことを知ってるんじゃないかと思うくらい私好みのものを贈ってくれてるよ。」
「ほぉ…。それは興味深いな。」
考え深そうに聞いていた。しばらくお父さんが無言で考え込んでいたので、世間話として真宮くんのはなしをしてみた。
「そういえば、クラスメイトの男の子ががお父さんの会社と同じスピカグループの子会社の社長をしてるらしいよ。」
「そりゃ、きっと真宮社長のご子息だな。社内でも仕事ができる天才少年だと昔から有名だよ。な…仲いいのか??ど、どんな子なんだ?」
何か私が失礼なことをしていないのか心配でもしているのだろうか。少し上ずった声で聞いてきた。
まさかそのご子息に溺愛されている。とも、好きになってしまった。とも言えるわけがない。
「最初は口うるさい嫌な奴って感じだったけど、実際は優しいところもあっていい人だよ。」
「…実際は優しいか…。(人は変わるもんだな…。)」
「優しいって意外だった?お父さん真宮くんの事を知ってるの??」
何かに引っかかった表情をしたお父さんに聞いてみる。
「まぁ、噂を耳にした程度だよ。ハハッ。」
「噂?」
「そうだ、あくまで噂だ。気にするな。お前がいいやつだと思えばそれが事実なんだろう。」
私の近況報告に満足したのか『風呂沸いているからさっさと入れよ。』と言って1階のリビングへと降りて行った。