シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
カイル
ざあざあと派手な水音で目が覚めた。
「あれ?わたし…いつの間にか寝てた……」
目の前のベッドで寝ていたはずの男性がいなくて、慌てて飛び起きる。まだ熱はあるはずだから、と部屋の中を探すと、どうやらシャワールームにいるみたいだ。
(よかった…お風呂に入れるくらい元気になれたんだ)
さっぱりしてもらえたら、食料を渡して解散にすればいいか、とコンビニ袋をガサガサ漁る。
かなり大量に買い込んだから、サンドイッチとお茶だけ朝ごはんにして、のこりは渡せばいいか。
予想外の出費だけど、お風呂も入れるしいいか、と考え直す。もし、今日仕事が見つかりそうでもお風呂入らないままだと不潔でマイナス印象だもんね。
“赤い目も人形みたいで気持ちわりぃんだよ!”
サンドイッチをくわえた瞬間、光輝くんの罵声が蘇る。
今まで散々虐められバカにされてきたけど、3年間付き合った彼に詰られたダメージは今までよりも遥かに大きい。じわり、と涙が溢れそうになったけど、我慢してサンドイッチを噛み切る。
涙は、サンドイッチと一緒に飲み込んだ。
もそもそとサンドイッチを頬張っていると、シャワールームのドアが開いて男性が出てくる。
チラッと見て……サンドイッチを落としそうになった。