シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

「んっ…!」

どんどん、と彼の胸を叩く。
光輝くんとだってキスはそんなにしなかったのに…!
カイルという人のキスは、それとは比較にならないくらい、深くて熱くて翻弄される。

舌を、入れられた。
それだけじゃない。生き物みたいに、口のなかで動いて…なんだか、体が熱くなる。

それだけじゃなくて、彼のゆびが、わたしのほっぺた…耳…首すじを滑って、くすぐったいのに、ぞくぞくと勝手に体が震えて。熱が出たみたいにおかしい。力が抜けてくる…。

一生懸命抵抗しても、カイルさんの力強さには敵わない。

「……や、やめて!」

やっと唇が離れたときになんとかそれだけ口にすると、彼はわたしをベッドに座らせてはぁっと大きく息を吐く。

「……すまない、性急すぎたな」

クシャリと前髪をかき上げた仕草は、艶っぽくて思わずドキッと胸が鳴った。

「……間もなく迎えが来るから、くるみも出る支度をしておけ」
「はい?で、でもわたし…今日から仕事を探さないといけないので…」

他人に明かすのは恥ずかしいけど、仕方ないからそう言って遠慮しようとした。

「か、カイルさんこそ……駅前通りで行き倒れてたのに、ご家族がいらっしゃるんでしたのね」

キスのお返しというわけじゃないけど、少し嫌みを込めてしまう。ここが、嫌われる理由だろうな。
自分でも嫌な女と思う。

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