シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「ハハハハハ!なんだ、そんなことか」
いきなり盛大な笑い声が聞こえて、呆気に取られるとカイルさんはお腹を抱えて笑ってる。
“そんなこと?”…ムッときて、わたしはさらに言葉を重ねた。
「そんなことじゃありません!今のわたしは住むところもないんですよ!」
「それで?」
「結婚を前提にした、3年間付き合った同棲した彼と、友達に裏切られたんです!!おまけに友達は彼の子どもを妊娠して……これでも、そんなこと?って言うんですか!?」
ポロッと、涙がこぼれた。
「お母さんにも捨てられて…親しい人なんていないなか…やっと幸せになれると思ったのに。家族…親戚…友人…恋人…当たり前にいる人に、わたしの気持ちなんてわからない!!」
叫んで、肩で息をしたわたしを見たカイルさんは、冷静な声で断じた。
「そうだな、君の気持ちはオレにはわからない。所詮他人だからな…きみの境遇も気の毒とは思うが、よくある話だ」
「……そうよね。結局他人だから、わかってもらおうなんて思わない。そんな期待は十年以上前に捨てたもの……」
やっぱり、他人なんて冷たい。
どんなに愛の言葉を囁いてくれた人でも、簡単に心変わりするのだから。