シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

カイルさんはいきなり両腕を背中に回してわたしを抱きしめてきた。

「は、離してください！」

あのキスを思い出して体が強張り、ドンドンと背中を叩く。彼の大きな手がわたしの頭に載せられると、そのままスッと撫でてきた。

「え……」

繰り返し、繰り返し。リズミカルに彼はわたしの頭を撫でる。

「……くるみ、今までよく頑張ってきたな」
「カイルさ…」
「大丈夫だ。もう、大丈夫。オレが認めるよ、くるみが頑張ってきたんだって。世界中の人たちが認めなくても、オレは知ってるからな」

ギュッと、ただただ抱きしめられるだけ。

なのに…

なぜ、だろう？

涙があふれて、止まらない。

「つらかったな」
「うん」
「苦しかっただろ？」
「うん…！」
「寂しかったか？」
「寂しい…寂しかった…」
「悲しかったな…」
「うん…うん！」

今まで誰も、そんなことは言ってくれなかった。

わたしだって怒るし、泣くし、傷つくのに。

「くるみ、もう思いっきり泣け！泣いていいんだ。馬鹿な連中のことを思いっきり怒れ!我慢するな！！すべて吐き出すんだ」

カイルさんの言葉が、彼の力強さが。なんだか護られている気になって…。

始めて、２人に対する憤りを言葉にした。

「光輝くん…エミリ…なんで…なんで…裏切ったの？そんなにわたしはどうでもいい存在だったの！？」