シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
やりたいこと

食堂とは思えない豪奢なダイニングルームで、目の前に並べられたメニューに、目を見張った。

朝から一流レストランのフルコースのような、豪華な料理の数々。

しかも、高そうなお肉は鉄板に乗ってじゅうじゅうと熱い湯気を立ててる。魚料理やチーズにサラダの数々…パンも各種食パンにフランスパンやベーグル、バゲット…お米やパスタまである。

「こ、こんなに…誰かお客様でもいらっしゃるんですか?」
「いいえ。カイル様とくるみ様のためのご朝食ですよ」

わたしの隣に控えているマリンさんが、当たり前のようにおっしゃいますが…。

「あ、あの…わたしに様なんて……」
「くるみ様はカイル様の花嫁となるべきお方ですから、呼び捨てなどできませんわ」
「は、花嫁って……わ、わたし…そんなつもりは……」
「カイル様に憧れる女性は多いんですよ?その幸運は喜ぶべきです」
「……はぁ」

なんだろう?
親しみやすい笑顔なのに…マリンさんの目の奥が冷たい気がする。

「とにかく、お早く召し上がってください。カイル様は多忙なスケジュールを調整して、くるみ様のために今日休暇を取られたのですから」
「はい……」

確かに、わたしのために無理をさせたらいけないよね。一昨日は熱を出したんだし…なんでこんなお屋敷で執事やメイドまでいる暮らしの御主人様が、あんなボロボロな格好で倒れてたかはわからないけど。

目の前のバゲットに手を伸ばすと、焼き立てなのかふわりと香ばしい薫りが鼻をくすぐる。あたたかいパンを口にするだけで、涙が出てきた。
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