シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「くるみ、もっと食べないのか?」
「十分いただきました。ありがとうございます。ごちそうさまでした」
「……だからあんなに細いのか……」
カイルさんが前髪をかき上げながらなにか呟いたけど、わたしには聞こえない。
「くるみ、食べたいものはあるか?」
「えっ…」
唐突にカイルさんが訊いてきたけど、突然ですぐには思いつかない。
「た、食べたいもの…?それより、わたしは仕事を探さないと……」
「これが、君の仕事だよ」
「え?どういうことですか?」
「オレに、甘える仕事」
「え、ええっ!?」
人に甘える仕事?そんなの聞いたことがない。
「そんな仕事、あるんですか?」
「ある。たった今、オレが決めた。1日オレに付き合えば、報酬は100万…どうだ?」
1日、彼に付き合えば100万円!?
自分としては破格の報酬だけど、こんなお屋敷に住んでる人にはポケットマネー程度の感覚なんだろうな。
もしも一千万と言われたら非現実的だけど、100万なら…と思える。おまけに、100万あれば身元保証人がいなくても、家賃保証会社を利用すればアパートが借りられる。喉から手が出るほど欲しい。
でも……。
ググッと拳を握りしめ、歯を食いしばり断腸の思いでカイルさんに言い切った。
「ありがとうございます…でも、お金はいりません。もし本当にわたしを甘やかしてくださるのでしたら、むしろ逆にお金を払わねばなりませんよね?」