シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

それに、とわたしはカイルさんを見返した。

「カイルも、食べたいものはないの?」
「は?オレ?」
「ええ。あと、カイルの行きたいところは?」

困惑した瞳のカイルさんに、わたしは正直な気持ちを打ち明ける。

「わたしは、一人だけ楽したり楽しんだりしたくはありません。どうせ楽しむなら、2人で……できたら皆さんと楽しみたいです。わたしは親や友達との思い出もあまりなくて……光輝くんたちが現れるまで、ずっとずっと独りでしたから……寂しかった。だから、チャンスがあるなら、みんなで思い出を作りたいんです」
「くるみ……」
「ね、みんなで遊園地いきませんか?わたし、ずっとずっと行ってみたかったんです。このスマホに、楽しい写真をいっぱいいっぱい残したいんです」
「じゃあ、Qランドに……」

カイルさんが国内外で一番有名なリゾートランドの名前を上げるけど、わたしは首を横に振った。

「ごめんなさい……わたしが行きたいのは、そんな豪華な施設じゃなくていいんです…ここがいいです」


市内で唯一ある、交通公園もある小さな遊園地。セレブなら絶対行かない場所だった。



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