シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

「わぁ……懐かしい。大きな池もそのまんまだ」
「へぇ、水鳥がたくさんいるんだな」
「はい。餌も売ってますよ」

市内南部の丘陵地にある交通公園兼遊園地兼動物園。入場は無料だからいつも賑わってるだろうけど、今日は平日の昼間だから人はまばらだ。

午前中はここで遊んで、お昼からはカイルに付き合う予定だった。

わたしとカイルは動きやすいラフな格好で、メイドのマリンさんはゴスロリファッション。執事のアベルさんは少々パンクっぽい格好。ちなみにアベルさんはカイルと同じくらいの年齢で、典型的日本人な顔立ち。とはいえ、かなりのイケメンですけどね。

二組でカップルみたいになっちゃったけど、まさかアベルさんと遊ぶわけにはいかないし…。女のコ同士が…と提案したら、カイルが拗ねたから。子どもみたいで可笑しかったけど。

「ほら、餌」
「あ、ありがとう」

水鳥を眺めてると癒やされるけど、やっぱり餌やりをしてみたい、と考えたらカイルが100円で餌を2つ買って一つを渡してくれたから、早速アヒルに向かって投げてみた。

「それっ…あっ!」

振りかぶって投げたのに、なぜかポタッとすぐ手前に落ちてしまった…。それを見たみんなが笑ってる…。恥ずかしい!

「クククッ…見事な投げっぷりだな」
「ひ、ひどい…!わたし、全力で投げたのに。カイルはどうなのよ!?」
「オレか?ほら!」

カイルが投げた餌は見事な弧を描き…白鳥の下に落ちて、見事白鳥が口にしてた。






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