シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「すまない、オレだけゆっくりしてしまったな」
3時間後、起きたカイルなバツが悪そうに頭をかいてた。
でも、スッキリした顔をしていたから、足がしびれても良しとしよう。
ただ、一つだけ、わがままを言いたい。
「じゃあ、一緒に観覧車に乗ってくれる?」
「……そんな事でいいのか?」
「うん。わたし、ずっとずっと乗ってみたかったの…一人じゃなくて、誰かと乗るのが夢だったんだ」
この遊園地は丘陵地のてっぺんにあるから、観覧車の窓から市内が一望できる…と聴いたことがある。
光輝くんと乗りたかったけど、彼は高いところが嫌だと、遊園地にも一緒に来てくれなかった。
「あ……」
梅苑から抜けるとき、広場にはキッチンカーの催し物があって。親子連れやカップルが足を止めてる。
その中で、クレープのキッチンカーがわたしの目を引いた。
「くるみ?なにか食べたいのか?」
「う、ううん……別に」
くううぅ〜…
こんな時に限って、盛大にお腹が鳴ってしまって…。お腹を抱えながら、恥ずかしくて消えたくなる。
「朝、あんまり食べてないからだぞ?ほら」
「え…」
カイルが差し出してきたのは、チョコとバナナと生クリームがトッピングされたクレープ。
「食べなよ。オレも食うから遠慮するな」
そう言ってカイルは豪快にクレープにかぶりつく。
「あ、ありがとう…」
彼が気を使ってくれたから遠慮するのも申し訳ない。ひとくち、クレープを頬張って…バナナの甘みとチョコのほろ苦さが口いっぱいに広がる。