シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「……美味しい」
「だろ?チョコバナナは祭りの屋台にもあるけど、絶対的な組み合わせだよな!」
「だね!ほんと美味しい」
自然と顔が綻んだのを感じて、そのまま笑顔をカイルに向けると、なぜか彼は目を見開いた。
そして、片手で顔を覆うと……「ヤバい」とかぶつぶつ言ってる。こころなしか耳が赤い…?
「カイル?どうしたの…あっ!」
いきなり、バナナチョコをがぶりと半分かじられた!
「ひどい!楽しみに食べてたのに!」
「油断する方が悪い!だが。まあ。オレのも食ってみろよ。ツナコーンマヨ納豆キムチだ!」
「か、辛い…」
「どうだ?うまいだろ」
「か、カイルの味覚は独特なのね…」
「ふふん!え、独特ってどんな意味だ?」
口直しにプリンアラモードクレープをはんぶんこして、カイルは大きな方をくれた。
「ありがとう」
「ま、チョコバナナを食べたお詫びだな…」
クレープをかじりながら観覧車に向かい、ほどなく車内に座ることができた。
ゆっくり上昇していく観覧車の中から、外を眺めるだけで楽しい。
ウキウキワクワク。
一周で10分の空中散歩。
窓に張り付くように眺めたわたしに、後ろからカイルの声が聞こえてきた。
「くるみ、そのまま聞いていてくれ」
「うん…」
わたしが気のない生返事していても、構わずにカイルは続けた。