シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「光輝、アタシからも言ったげる」
二人がけのソファに光輝くんと仲良く体を密着させたエミリが、今までにない冷たい目と口調でわたしに言い放つ。
「いい?もうあんたの場所じゃないの。光輝の隣も、この家も、コンビニもね」
「……コンビニって?え、だってわたし…シフトが」
わたしがそう答えると、エミリはプーッと吹き出してケラケラ笑った。
「マジ?コイツ、ここまで頭オカシイとは思わなかったわ〜…あのね、あんたはクビに決まってるでしょ?誰が別れた元カノを働かせると思うの?それに、今まで言えなかったけどさ、赤い目って超キモいんですけど?オーナーにはあんたが重大なミスをしたから…って話は着いてるんだからさ!ね、光輝」
光輝くんの腕に自分の腕を絡め、これみよがしにべったりと密着するエミリは、勝ち誇ったような笑顔を向けてきた。
「ああ、もうおまえにゃうんざりだ!ヤラセないくせに甘えて頼り切りやがって…どんだけ自分が価値が高いってうぬぼれてやがる?
大して美人でもねぇくせにな、はん!それに比べてエミリはいい女だ。とことん俺をいい気分にさせてくれる。美人だしな…夢もあるし努力もしてる。べそべそしてうずくまってばっかのおまえとは、雲泥の差だ!もう、うんざりなんだよ。重いだけのおまえとは。赤い目も人形みたいで気持ちわりぃんだよ!顔も見たくねえ。わかったら、荷物まとめてとっとと出ていけ!!」
引きずり出したわたしのキャリーケースを、光輝くんはこちらへ勢いよく投げてきた。
「痛っ!!」
キャリーケースが当たってわたしが床に倒れても、彼は一瞥もせず、エミリとともに寝室のある二階に上がっていった。