シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「え、きゃっ!?」
カイルがいきなりこちら側に来るから、観覧車が一瞬傾いたように感じて驚いたけど。もっと驚いたのは、カイルに抱きしめられたこと。
「か、カイル…?」
「……くるみ……」
「ちょ……苦しい…」
あまりに力強く抱きしめられるから、息が苦しくて窒息するかと思った。ようやく開放してくれたけど。カイルは切なげな瞳でわたしを見るから、ドキドキしてしまう。わたしはまだ、光輝くんが好きなはずなのに…。
「すまない。だが……くるみ…オレのそばに、居てほしい」
「カイル?」
そばにいる?どういう意味だろう??
「カイル…それはどういう意味?」
「……オレは、観覧車のジンクスは信じない」
観覧車のジンクス?そんなものがあるなんて知らなかったけど。
「オレは、ずっとそばに居てほしいんだ」
「カイル……」
両手をガラスに着いた彼は、わたしを腕の中に閉じ込める。限りなく近くに、端正な顔があって。熱っぽい瞳に映されたら。
そっと、彼がキスをしてくる。
拒絶なんて、できない。
残り5分。観覧車が地上に降りるまで、わたしはカイルにむさぼり食うように翻弄され続けた。