シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
好き
「ふう…」
「くるみ、どうかしたの?」
朝食の席で思わずため息を着くと、傍らで控えていたマリンに心配されてしまった。
「う、ううん。大丈夫!食欲はあるから」
パクパクと目玉焼きとパンを口にすると、少しは安心してくれたのか、マリンは苦笑いを浮かべる。
「そりゃあ、カイル様がお忙しいからさみしいのはわかるけど、ちょっとはガマンしなきゃね!私もアベルと逢えないんだものぉ」
シクシクと泣くふりをするマリンだけど、たぶん本音だ。あの遊園地デートで実はアベルさんが好きだったマリンは彼に告白。色よい返事は貰えなかったけど、前向きに考えると言われて…クリスマスのデートをOKしてもらえた!と浮かれてた。
わたしは…カイルとは特になにもない。
お屋敷に滞在させてもらえて1ヶ月が経つけど、彼から具体的にどうしたいとかの話はなくて。
ただ、帰ってきた時と朝ごはん起きる時はキスをされる。それだけで済まない時もあるけど…。とりあえず、一線は越えてない。
「まぁ、毎晩毎朝カイル様と熱心だから、近いうちに御子様ができるんじゃないかしら?」
「ゴホ!!ま、マリン!なんで知って…?」
口にしたパンを喉に詰まらせかけたら、マリンは当たり前でしょ、と得意げに胸を反らす。
「カイル様とくるみの警護も兼ねてますから?あ、別に聞き耳をたててはないから、安心して乱れてね」
「あ、安心できません!」
「そうぉ?江戸幕府のお殿様の夜伽なんて、お目付け役いてじっと様子を窺われるのよ?それに比べりゃましよ」
……なんか基準が違う気がする。