シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
自分にあてがわれた部屋に戻る。
白磁色の三階建の洋館の最上階。バルコニーはお茶会もできそうなほどに広く、緑豊かなガーデンにもなってる。
わたしが住んでいたメゾネットアパートの面積より広いお部屋は、衣装部屋や寝室まで別になっている。
白を基調として上質なロココ風の調度品や絵画などで飾られ、シャンデリアがキラキラ輝いてる。
天蓋付きのベッドに身を投げると、ふうっとため息が漏れてしまう。
手にしたスマホの画面には、光輝からのメッセージが表示されていた。
“会いたい”ーーと。
ただ、それだけ。
(あんなに手ひどくフッて一ヶ月も放っておいたくせに…いまさら、なによ!)
今では、なんであんなにも好きだったのかわからないくらい、冷静に彼のことを考えることができる。
それもこれも、カイルのお陰だ。
この1ヶ月…カイルとの毎日はドキドキするけれど、彼の優しさに包まれて安心して過ごすことができた。
屋敷のみんなとも打ち解けて…できる範囲で仕事をお手伝いしたりしてる。やっぱり働かざる者食うべからずだものね。
わたしが取った資格を活かせるのも嬉しかった。