シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
(うん…やっぱり今、わたしは…光輝に会いたくない)
せっかく穏やかに過ごせているのに、また光輝とエミリに振り回されたくない。
わたしは…ここにいたい。
カイルが許してくれるならこのまま働いて、この屋敷の正式な一員になりたい。
“ごめんなさい、もう会うつもりはありません”
昨夜きたメッセージに、散々悩んでそれだけ返信した。
でも、秒で返信が来たから、ビクッと身体がこわばる。
恐る恐る開いてみると、やっぱりな内容だった。
“もう他の男に乗りかえたのかよ!このクソ女!!”
あきれて、開いた口がふさがらない。
“他の女に乗りかえた人には言われたくない”
当たり前の返信をしたら、ようやく来なくてホッとする。
(バカらしい…もう二度と関わらないのに……)
けど、夜になってもう一度スマホが震えた。
“最後に一度だけたのむよ。おまえが住む屋敷の男の秘密教えてやる。共同預金の金、おまえの分だけ返すから”
2年間貯めた結婚資金…。
毎月3万づつの入金だったから、世間から見れば大した金額じゃないけど。わたしにとっては大金だ。
それに、カイルの秘密…。
わたしは知りたかった。
なぜ、光輝がわたしが住んでると知ってるのか、と疑問に思いながらも。
悩みに悩んで、“わかった、一度だけね”と返した。