シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「くるみ、オレを信じろ」
カイルはまっすぐにわたしの目を見て、そう言ってくれた。
「オレは、くるみのためになることしかしない。なにも話さなくて不安に思うのも当たり前だ…だが、オレはくるみ自身が必要だ。時が来ればすべて話す…だから、オレを信じてほしい」
「カイル…」
シャワーを浴びた彼が、真剣な瞳で懇願してくる。
わたしは…
4年間ともにいた光輝よりも、カイルを信じたいと思った。
そして、自分からスマホをカイルに見せた。
「あの男が……オレの秘密を?」
“あの男”と光輝を知ってる口ぶりは気になって聞いてみた。
「光輝を知ってるの?」
「くるみを苦しめたバカな男だからな。徹底的にマークしてる…もちろんエミリという女もな」
カイルがググッと握った拳が震え、そのままベッドの柱を殴る。やるせない気持ちを発散するかのように。
「オレは、許さない…くるみを苦しめた2人を。だから、制裁を下して……」
わたしは思わず、後ろからカイルに抱きついてた。
「ありがとう……わたしのために怒ってくれて……だから、いいの。カイル…あなたがあんな人たちのためにエネルギーを使うのはもったいないよ。そんな価値もない人だもの」
そう、親友の彼を寝取って妊娠したエミリも、結婚を約束した同棲してる彼女の親友と寝た光輝も。
おまけに2人はわたしが悪いとあざ笑い、アパートから追い出した。
人として最低だ。
「だが、光輝はコンビニをクビになったはずだぞ?」
「……そうなの?」
「売り上げ金の横領だそうだ。バイト時代から返品処理を誤魔化し、懐に入れてきた。十年で一千万近い。本部から損害賠償を請求されてるそうだ」
「うっわーサイテー!人として終わってる」
カイルの話から、光輝と別れてよかったと心底思えた。