シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「…よかったな、くるみ…笑って話せるようになったんだな」
カイルはわたしの頭を撫でてくれる。くすぐったいし、照れくさい。
「もう!これでわたしはいい大人なんですけど?」
「悪い、悪い。いい子だからつい…な」
恥ずかしくておふざけをしてしまったけど…
「……ありがとう、カイル。あなたのおかげ。光輝のことも…エミリのことも…お母さんのことも」
「オレのテクニックのおかげかな?」
カイルもちょっと照れくさいのか、ふざけてわたしをベッドに押し倒す。
「もう…カイルったら…んッ!」
覆いかぶさるカイルから濃厚なキスをされて、それだけで溶けそうになる。
彼と身体が重なる、この時間が好き。
最後まではないけど、ぬくもりを分かち合えて。愛はないかもしれないけど、カイルの想いが伝わってくる。
「くるみ…これを受け取ってくれ」
「か、カイル……ッこれ……」
左手の薬指に輝いたのは、金色に輝く指輪。七色に輝くオパールとは違う透明な色彩の宝石と紋章が象眼されていた。
「……常に身につけていてくれ、オレを思い出せるように」
「……ッ、あ…ありがとう…カイル……嬉しい……」
まさか、こんなふうに形のあるものを贈ってもらえるとは思っていなかったから、嬉しくて嬉しくて。
幸せの涙がとめどなく溢れた。
お互い裸になって体に触れ合うだけの擬似的なセックスでも、わたしは満たされる。
きっと、彼は本気じゃない。
でも、いいんだ。
だって、この時間のわたしはたまらなく幸せだから。
一緒に登りつめて果てた時、微睡むわたしは知らずに口に出していた。
「カイル……すきよ……」
「くるみ……オレ…ーー…だ」
額に、柔らかいあたたかさを感じた。