シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
王子様
「待ちやがれ、このアマぁ!!!」
光輝から怒声が発された。
「人が下出に出てやりゃ、いい気になりやがって!舐めるんじゃネエよ!」
閉まらないはずの倉庫の扉が閉まり、がちゃん!とカギが閉まる音が響いた。
そして、パッと一斉に灯りが点いて、状況を悟った。
光輝の後ろにはエミリと、姿が見えなくなったはずの母がいたことに。
おまけに、数十人の男たちがわたしたちの周りを取り囲んでいた。
「アハハハ!やっぱバカだねえ、あんた。光輝の誘いにノコノコ来ちゃってさあ〜案外、まだ未練あるんじゃないのぉ?強がっちゃってさあ〜」
光輝の肩にしなだれかかったのは、お腹を大きくしたエミリ。そして、その横にかつて母と呼んだ金髪の派手な女性がいた。
「バカはバカだよ。死んだって治らないさ!」
そう言って、憐れむような瞳を向けてきた。
「バカは親ゆずりだよ!マジでな〜沢村の親戚だからっつ〜くだらねぇ理由でさ、死にかけの女からガキを押し付けられたんだ…一千万程度と安物の宝石なんざじゃ割に合わねえよ!だから、アンタを人質にして、シルカーの王子様から身代金をふんだくってやるよ!その後は“やつら”に売ってやるから安心しな!」
母…いや、女から放たれた言葉は、わたしに二重のショックを与えた。
“死にかけの女から押し付けられた”
“シルカーの王子様”
“人質にして売る”
どれも、わたしの頭の理解の範疇を超えていた。