シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
光輝の顔に頭突きをして、よろめいた刹那…彼の手に噛みつく。
「ぐああっ!このやろぉ!!」
むちゃくちゃに振り回された光輝のナイフが、腕をかすって痛みが走る。でも、構わずにマリンのもとへ、一目散に駆けつけた。
両手を後ろに縛られてるから自由にできないけど…。
「マリン、大丈夫?」
「くるみ、あたしはいいから。あなたこそ逃げなさいよ!」
マリンはなんとか自力で止血してるけど、血が止まらない。このままでは……。
「ふん、麗しき友情ごっこかい…だが、そこまでだよ」
女が、黒光りする銃を両手で構える。狙うのは明らかにマリンで…。
「マリン、わたしにまかせて」
「くるみ…?」
「一か八か、やってみる!止めないでよ」
そう言って、わたしはガバッとマリンの上に覆いかぶさる。すると、案の定マリンはわたしを退かそうと動いた。
「くるみ、やめて!どいてよ!」
「いや!絶対どかない!!…マリンは初めての本当の友達だもの…護りたいの!相手は少なくともわたしを必要としてる…だから、わたしは撃たれても価値がなくなるまでは殺されないはずだよ。だから、わたしを盾にして!!」
一生懸命に自分にそう言い聞かせて、自分自身を鼓舞した。でないと…今にも逃げたくなる。
そうよ、本当のわたしは意気地なしの小心者。今だって、ガタガタ震えが止まらない。撃たれたらどうしよう…痛いのは嫌だ、苦しみたくないって。
でも、逃げたくないから無い勇気をかき集めて踏みとどまった。