シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
「いや、またわたしを騙すつもり?そんな簡単には誤魔化されないんだから!」
カイルが近づこうとしたから、これ以上は嫌だと拒むためにしっちゃかめっちゃかに暴れた。
でも、悔しいけど。力の差で彼に強引に抱きしめられた。
「はな、してよ…!カイルなんて大嫌い!!」
ぽろぽろと涙を流しながら、そう泣き叫ぶのが精一杯だった。本当にバカだよ、わたしは…こうなっても、カイルの腕の中で安心してる自分がいるんだから。
「ごめん……ごめんなさい……カイル。違うの……本当はあなたが好きなの…!騙されていても、利用されていても…いい!お願い…小間使いでもなんでもいいから…そばにいさせて…!!」
みっともないこともわかってるけど、恥も外聞もなく自らカイルに懇願した。
もう、二度と後悔したくない。
傷ついただけで、大好きな人を失うのは……。
物分かりの良い女を演じたから、都合のいい女と浮気相手にされたんだ。
でも、今度は間違わない。
自分から、ほしいものを取りに行く。
待っているだけじゃ、王子様は手に入らないのだから。
カイルが改めて、わたしに質問してきた。
「くるみ…じゃあ、日本を捨てられるか?」
「ええ」
「異国に来る覚悟はあるか?」
「もちろんよ」
「……シルカーに来るか?」
「あなたがいるなら、どこまでもついていきたい」
すべて、嘘偽りない本音だけで答えた。