シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄

(これからどうしよう…)

ひとまず駅前のベンチに腰掛けたわたしは、雨が降るコンコースを眺めながら途方に暮れた。

普通なら親や友達に連絡して頼るんだろうけど、わたしにそんな人はいない。

唯一の親である母には、小学生のころに捨てられた。

たぶん水商売をしていたんだろうけど、金髪に染めてきつい香水をつけて派手なメイク。安アパートには不似合いなブランドやアクセサリーで全身を固めていたのに、わたしにはめったにご飯をくれなかったし、着るものもろくになくてボロボロの服で、お風呂にも入れないから垢まみれ。
唯一の食料である給食を食べるためだけに学校にいき、3分の1だけ食べて残りは持ち帰り、夜ごはんと朝ごはんにした。

長期休みの時は最悪で、水だけ飲んで過ごしたり…。

蛇口から水すらでなくなった時は、死を覚悟したな…。

結局、児童相談所の介入でかろうじて生き延びたけど。

児童相談所の人が家に来たときに、母は“あーやっと来てくれたァ?あれっぽっちの報酬でもうガキの世話はうんざりだったんだよ!ちょうどタツと同棲するタイミングなんだ。そもそもアタシのガキじゃないし、邪魔だから、とっとと連れてってくれるぅ?”
…なんて言って、シッシッと猫の子を追い払うような仕草をしたから、ショックで…。

“おかあさんはあたしがいらないんだ”

涙が枯れるほど、泣いて泣いて…気がついたら、児童福祉施設にいた。



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