シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
母に捨てられたという事実は、わたしの心に影を落とした。
もう、誰かに関わるのが怖くて怖くて…。
親しくなったら、捨てられるかもしれない。いらないと言われるのが怖い。
それだから、わたしは人と深く関わるのを避けてきた。
もともと、育児放棄で最低限の常識や躾すら身に着けていないわたしは、児童福祉施設でもとんちんかんな事ばかりして嫌われてた。
稀に仲がよくなりかけても、余計なことを言ったり馬鹿なことをしたりして、すぐ嫌われた。
家族も友達もいなかったわたしには、当たり前のことがわからない。
それでも中学生になったら一生懸命勉強をして資格を取り、資格を活かして寮がある会社に就職することができた。
ようやく安定した暮らしができると喜んだのに……。
2年間コツコツ貯めたお金をかつての母に奪われ、しかも無断で給料が前借りされて(難病の治療費という名目だった)…二百万という借金に、目の前が暗くなった。
2年がかりでようやく前借り分を払い終えたとき、また母が現れたけど。会社もさすがにこれ以上はムリだと断ると、母はヤバそうな男たちを連れてきて、刃物を持ち暴れて…警察沙汰にまでなった。
そして…わたしも仕事をクビになった。