シルバーブロンドの王子様が甘すぎる〜海を越えた子守り唄
職も身元保証人もいないわたしに、住処を借りれるあてはなくて、やむなくかつて母といたアパートに戻った。スペアキーはあったし、母は警察沙汰でしばらく戻らなかったから。
しばらくは単発のアルバイトで食いつないだけど、資格を活かして就職をしようとしても、不採用が続いた。
家賃滞納でアパートの退去勧告が通知されて…これで最後だと挑んだ会社も不採用。手持ちのお金が尽きかけた時にたまたま寄ったコンビニで、空腹のために倒れて…その時にシフトに入ってたのが、店長の光輝くんとバイトのエミリ。
2人は狭い事務室で休ませてくれ、救急車を呼ぶかと聞かれたけど。お金がないからと断った。
すると、お腹が盛大に鳴って…2人がお腹を抱えて笑うのを見て、思わず自分まで笑ってしまってた。
おごりだ、と光輝くんはお弁当やパンを袋いっぱいにくれて。エミリがわたしをバイトに採用したら?と光輝くんに提案してくれたから、そのままコンビニで働けることになった。
エミリは同じシフトで丁寧に教えてくれた。
最初は母と同じ金髪だし派手だから、苦手意識はあったけど。しばらく一緒に働けば努力家の優しい女のコってわかって…すぐ打ち解けられた。
母の連れてくる男は怖い人が多かったから、男性には苦手意識があったけど。光輝くんは穏やかで優しくて…いつもわたしを見守ってくれる。彼から告白してくれた時は信じられないくらい幸せで…。
2人がいれば、なにも怖くなかったし、幸せだった。
捨てられる、あの瞬間までは…。