【続】酔いしれる情緒
目から零れ落ちた涙は下ではなく、ゆっくりと横に流れてく。
見上げる先は春の顔。
眉根を寄せて如何にも苛立っているような表情で見下されているのにも関わらず、ホッと安心してしまったのだ。
キスしてくれた。
印を付けてくれた。
まだ嫌われていない。
愛想を尽かされていない。
春は、私のことが好きなんだ。
春からその熱をハッキリと感じた私は
心の中で何かが弾けたのと同時に
春の首元へ腕を回した。
引き寄せて、ぎゅっと抱きしめて。
「私は……春が好き。大好きなの。
他人なんて興味無い……触れられて嬉しいのは春だけなんだよ」
自ら唇を触れ合わせて
自ら舌を入れた。
この行為に一瞬ピクリと反応していた春だったけど、深く深く混じり合うように熱を与えてくれる。
息が出来ない。
苦しい。
────でも、幸せ。
身体は落ち着きがなく動いてしまうし、熱くて熱くて仕方がない。
この感覚、久しぶりだ。
頭の中は春でいっぱいになって
身体の熱も刺激も、春だけを感じてる。