【続】酔いしれる情緒
「春っ…」
誘うべきではなかったのかもしれない。
こんなことをしてしまえば、私の醜い欲は留まることが出来なくなってしまう。
(ああ、でも……)
……もういいのかな。
私は春が好きで
春も私のことが好きなんだから
この欲に溺れたって……いいのかな。
優しく頭を撫でられ、至近距離で視線が絡み合い、ゆっくりと唇が触れ合う。
今のキスはさっきの息ができないような激しいキスなんかじゃなく、とても優しくてお互いの想いを感じられるようなキス。
「緊張してる?」
「っ…、してないっ…」
「嘘。ずっと顔が強張ってるよ」
春はそう言いながら私の頬を指で撫でた。
いつものように強がってしまったけど、もちろん緊張するに決まってる。
何度も触れ合わせてきたけれど未だ慣れていないってこともあるし、尚且つ久しぶりなんだから。
そう文句を言いたいのに、春の笑顔を見ると何も言えなくなってしまう。
黙る私に「火照ってて可愛いけど。」と耳元に唇を寄せて、春が囁いた。
「凛を抱いていいのは俺だけだから。」
そのセリフと耳に当たる吐息に背筋に甘い痺れが走る。
春の独占欲は、むず痒いようでけれども嬉しさを感じてしまう。
見せないよ。
春だから見せられるの。
他の人となんて……考えるだけで鳥肌が立って仕方がないよ。