【続】酔いしれる情緒
「これ良かったら着てください。私のなのでサイズ小さいかもしれませんけど…」
「あ、すみません。助かります」
ここに一定期間避難することは急遽決まったことで、もちろん替えの服も何も持ってきていない。
今日はもう遅いからと、持ち物は後日取りに行くことになった。
「お風呂温めてあるのでお先にどうぞ」
「あの、由紀子さん」
「はい?」
「私達…邪魔じゃないですか?」
「え?」
「同棲されてるみたいだし…」
「えっ!?いやいやいや!全然!!!
寧ろ居てくれた方が助かるというか…あっ!」
動揺のあまり、持ってきてくれた服が全部床へと落下。
慌てて拾う由紀子さんに私も一緒になって拾い集めた。
「すみません……」
「いえ…全然。」
「うぅ…恥ずかしい…」
「(顔真っ赤…)」
何もそこまで動揺しなくても。
頬を真っ赤に染める由紀子さんをちらりと盗み見た。
由紀子さんは頬に手を当てて恥ずかしそうに口を開く。
「本当に……居てくれた方が助かるんです…。緊張が紛れるというか……」
「緊張、するんですか?」
「はい…」
橋本に、だよね?
え、どこに?
口煩いお父さんみたいじゃない?
なんて思ってしまったけど、言葉にするのは悪いかと思って口をつむぐ。