【続】酔いしれる情緒
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それから何時間が経ったのだろうか。
「っ!!」
私の意識が戻ったのは、
顔面に冷たい何かをかけられた時だった。
突然のことにビックリして目を開けるけど
起きたばかりでピントが合わない。
「ごめんね〜」
そんな中、近くで女の声がした。
「全然起きないから、死んだのかと思っちゃって。」
「……………」
視界はボヤけながらも、顔面にかけられた物は水だということはスグに気がついた。
だって匂いがしないから。
「はい。これどうぞ」
徐々にピントが合ってきて
手渡されたそれは真っ白のタオル。
だけど私はそのタオルを使うことなく腕で顔を拭う。
そしてやっと目の前の人を視界に入れた。
真正面からその姿を目にした私は無意識に息を飲む。
(この人が……)
過去に、春との関係を持つ人。
噂の──── 清美一花 だった。
顔立ち、オーラ。
何から何まで私とは別格だ。