【続】酔いしれる情緒
「だから春はアタシを避けるんだ?」
「避ける…?」
「電話を掛けても出てくれない。メールを送っても返事は無し。おかしいよね?今までそんなことなかったのに急に全てなくなるなんて。」
それって……確か。
(アイツ、携帯水没させたんじゃなかったっけ…)
確か前にそう言ってたよね。
そこから新しいのに変えたからデータも全部なくなって何もかも最初からになった。って。
そのせいで私も一時期春と連絡が取れなくなったし、
なんで返事くれないんだろう、って。
私もそう思ってた。
色んな事が頭を過ぎって不安になって
ムカつくくらいモヤモヤした。
何も知らない彼女は、今その状態なのだろう。
伝えるべき?
でも私が伝えたところで信じてくれる?
(もし逆鱗に触れてしまったら……)
ここリビングだし、包丁とか持ち出してくるかも。
そう危険を予知してしまうほど
この人の雰囲気、口調。
そして今私に見せているその顔は、テレビとか雑誌とかニコニコと可愛らしい笑みを浮かべている彼女とは全く別人で。
「アンタと結婚してから春はおかしくなった。」
心が1つのことに支配されて
その事だけしか考えていないようだった。