【続】酔いしれる情緒


(もう…ヤダ……)



急にどうしちゃったの、私の人生。

今までこんなのなかったじゃん。

ずっと平凡で平和な毎日だったじゃん。


なのにこの歳になってから私の人生ガラリと変わっちゃったしさ。


なんなの、厄年?
だったら早く厄祓いしてもらわないと。



だって、もう、ウンザリなんだってば。



今までにない経験に

身の毛もよだつほどの恐ろしさ。


鳥肌が立ったのはこれで2回目。


記念すべき1回目は、初対面相手に「結婚してほしい」なんて言われたあの日。



(そんなこともあったな…)



走馬灯というものは、死の危険を感じたときに流れるもの。確かにそれは間違いないなと思った。



強引で、自分勝手で、抱きつき癖があって、キス魔で。


鬱陶しいくらいに私のことが好きなアイツ。


出会いは最悪。なのに今じゃ、私も度が過ぎる程に彼が好きだ。


こんな状況下でも頭に浮かんでいたのは紛れもなく春の顔。



不安だった。


春は私と棲む世界が違うから、出会う人の数も異性と関わり合うことも人より多くてずっと不安だった。


だからこそ、仕事を辞めて欲しいとまで思った。


彼の今までの努力が水の泡になってしまえば
もうずっと私のモノになる。


誰の目にも、誰にも触れることなく
私のモノになるんだと。


そう願ったこともあった。


でもそれは間違いなく私の願望だ。


春は、違う。

春からすれば、ただ迷惑なだけ。


迷惑な想いでしかないのだ。



だとすれば。この人の言うことを嫌でも受け入れるべきなのかもしれない。


そうすれば私は殺されずに済むし


尚且つ、


私も " この人みたいに " ならなくて済む。
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