【続】酔いしれる情緒
私の言葉に春も一瞬言葉を詰まらせたみたいだった。
「あれ……おかしいな」
そしてまた、春はその笑みを見せる。
「本気、なんだけどな」
無理に笑って
「……今の俺、その演技出来てない?」
悲しげな瞳を私に向ける。
自らそんなことを言うなんて、本気じゃないって言っているようなものじゃん。
言われなくたって春の言う「離れたい」は本気じゃないことくらい分かってる。
春がどれほど私のことが好きか。
私が知らないとでも思った?
一度突風のような風が吹き付けて
私は少しだけバランスを崩した。
倒れるまではいかなかったけど、
よろけたその瞬間に
春は私の腰に腕を回して引き寄せる。
軽く抱きしめられているような、そんな体勢だ。