【続】酔いしれる情緒
眠気のせいで今の体勢を維持出来なくなってきた私はゆっくりと横に倒れてしまいそうになるが、
「……ん、あれ…春…?」
「おはよう、凛」
私の横には、今起きたのだろう彼がいて
起きたばかりの声が私の耳に届く。
春は私と同じように窓辺に座って
倒れそうになっていた私を自身の身体で支えてくれた。
「眠いの?」
「うん…ちょっと」
「向こうで寝る?」
「ううん、ここがいい」
そう言って、私は春の肩に頭を預けた。
その瞬間春の体温が私を包み込み、浸透していく。
この小さな幸せを一瞬でも長く味わいたいと思った。
「……………」
「……………」
2人して窓辺に座って
お互いにぼんやりとどこかを眺めて
きっと同じことを考えているだろうけど、
私たちは口を開くことなく数分間を過ごして
「……凛、起きてる?」
先に口を開いたのは、春の方だった。
私は曖昧だけどちゃんと返事をして耳を傾ける。
対する春の返答は、柔らかく、でも力強いものだった。