【続】酔いしれる情緒
海水浴なんていつぶりだろうか。
海水浴に行こう!と急遽決まったのは
一昨日の私の発言だった。
今じゃ家でも平気でテレビをつけていて、ちょうど見ていた番組の内容が『海水浴特集』といったもの。
今は夏だし、久々に海水浴でも行きたいな〜っと前から思っていた私はその番組に釘付けになって。
「ねぇ、春」
「んー?」
「今度海水浴行かない?」
「……海水浴?」
「うん。久々に海入りたいな〜って」
「海水浴ねぇ…」
「嫌?」
「…ううん、行こうか!」
……と。
春は海水浴になんだか乗り気じゃないような感じもしたけど、今日休みがちょうど重なった私達は何故か橋本カップルに連れられて橋本の別荘近くにある海辺へとやってきた。
別荘も持ってるなんて、この人どれくらい稼いでいるんだろう。
「海に入る前は準備運動しろよ」
そう言って準備運動をし始めた橋本。まるで保護者みたいだ。
「……あれ。春、入らないの?」
そんな中春は影のある場所に敷いたブルーシートの上で寝っ転がっていた。
「うん。俺はいいから行っておいで」
「…?」
もしかして…何かの撮影で、今は日焼けしちゃいけないとか?
そうだとすればせっかくの休みなのに悪いことしちゃったなと、申し訳ない気持ちに。
「あの…由紀子さん。今春って、日焼けしちゃいけないような、何か大事な撮影があったり…?」
「撮影ですか?うーん、そういった条件は特に無かったと思いますけど…?」
「…そうですか。」
海に入ろうとしない春。
なんだかちょっと気がかりで、モヤモヤする。